笠井叡×山田せつ子新作ダンス公演「燃え上がる耳」(京都造形芸術大学・春秋座)

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7月3日、京都造形芸術大学・春秋座で開催された笠井叡×山田せつ子新作ダンス公演「燃え上がる耳」を観に行きました。

しばらく前偶然に、出版されたばかりの笠井叡さんの著書「カラダという書物」(書肆山田)を手にし、その本の持つたたずまいに直感的に惹かれて買い求め読みました。そのとき、内容的には容易にうなづくことができないところもあるものの、「でもこの本はまぎれもなくこの人の身体のなかから出て来たものだけで出来ている、嘘偽りのないものだ」と思いました。それ以来笠井さんのダンスを観る機会をうかがっていましたが、今回ようやくその機会を得ることができました。

冒頭からブラームス交響曲1番の壮大で重厚な響きに乗って、笠井さんと山田せつ子さんとのデュオで激しく踊り続ける鮮烈な始まり方でした。私の稽古している合気道の「呼吸法」に似た空間を抱え込みながら旋回する横の動き(「瀕死の”呼吸法”」!)と、突然崩れ落ちては素早く立ち上がる縦の動きを織り交ぜながら、舞台空間を大きく使って1楽章15分ほどを丸ごと踊り続ける圧巻のダンスでした。二人の身体からダンスがこんこんと涌き出してきます。
笠井さんと山田さんのユニゾンの動きはお互いの身体性の違いのままにズレていくのですが、それが逆に二つの身体の関係性を際立たせ、舞台上での響き合いを感じさせます。(終演後のアフタートークで、笠井さんは、ズレていくことは当然意図されていたことと話していました。)

その後も両者ともやはり長いソロを踊るシーンがあり、共演の4人の若手女性ダンサーの好演もあって、全体的に大変濃厚な1時間20分でした。人間の身体の動きだけでこれほどの時間を緊張感を維持してみせる振り付けや構成の緻密さと力技に感銘を受けつつ帰路につきました。
(本公演の制作途中でのインタビューはREALKYOTO内のページで読むことができます。)(Y.O.)
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# by matsuo-art | 2016-07-10 20:46 | 舞台  

PLANKTON - 漂流する生命の起源(京都市美術館別館 2階)

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5月22日まで京都市美術館別館で開催されていた「PLANKTON - 漂流する生命の起源」という展覧会に行ってきました。これは京都市内の様々な会場を使って行われていた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2016」というイベントの一つで、クリスチャン・サルデ(写真・映像)、高谷史郎(インスタレーション)、坂本龍一(サウンド)という3者のコラボレーションによるものです。

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フランス国立科学研究センター名誉ディレクターでプランクトンの研究者であるクリスチャン・サルデ氏の撮影した美しいプランクトンの映像をモチーフに、アーティストの高谷史郎氏が音楽家の坂本龍一氏とともに静謐なアート作品に仕立てています。

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導入部分に展示された数々のプランクトンの写真を経て、メインの会場ではたくさんの薄いモニターが床に直に設置されており、そこに動くプランクトンの映像が映し出されています。その様子を一つ一つモニターを廻って眺める観客や、会場の両サイドに設営された階段状のベンチに腰を下ろして少し高い位置から全体を見渡す観客もいます。そして、坂本氏によるアンビエント・ミュージックが会場を包み込んでいます。

暗い会場に浮かび上がる微小な、しかし驚くほど多様な生命体の有様はそれだけで見入ってしまう魅力があるのですが、今回の展示ではそうした凝視を許さないような工夫があるようです。それぞれのモニターに映し出されたプランクトンの映像は、短い間隔でストライプ状の映像に変換されたり、そのストライプの中から再び現れたり、そして全ての映像が同期して、全てストライプ状のノイズに変換されホワイトアウトしてしまうタイミングがあります。プランクトンの運動とともに、そうした映像の運動を追いながら、私も会場中のモニターの周囲を動き回っていました。

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クリスチャン・サルデ氏の著作は日本でも『美しいプランクトンの世界』(河出書房新社・2014年)が刊行されています。近いうちにその本も読んでみたいと思っています。(Y.O)
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# by matsuo-art | 2016-05-24 16:22 | 展覧会  

謹賀新年 2016年

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新年明けましておめでとうございます。
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# by matsuo-art | 2016-01-01 00:10  

King Crimson 2015 キングクリムゾン 日本公演 フェスティバルホール大阪

12年ぶりに来日したキングクリムゾンのコンサートに行ってきました。12月13日(日)の大阪フェスティバルホール公演です。
東京公演4日間、前日の大阪公演に続く2015 JAPAN TOUR 6日目の公演です。
12年ぶり、ということは前回は行かなかったのだなあ、と思っているのですが、私がクリムゾンに感化されたのは高校、大学時代のまさに思春期。ロバート・フリップの虜になって、いくつかのバージョンが発売されたソロアルバム「エクスポージャー」も、レコード、CD合わせて4枚くらい持っているのではないかと思う。
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コアなファンには承知のとおり、クリムゾンの絶頂期は1973~74年のライブ演奏にあります。真骨頂はディストーションのかかったヘビーな音による即興演奏で、その緊張感と発散力の強度は他に類を見ません。80年代に再結成されてからもフォローし続けて日本公演にも3度行きましたが、90年代のヌーブォーメタル期が進むにつれ、その音色やインプロの在り方に不満を持ち、失礼ながら見切らせていただいておりました(74年の演奏を基準にしたら、仕方ないですよね)。

そんな訳でしばらく離れていたのですが、40周年記念BOXシリーズ発売で再び付き合い出したある日、気が付けば2014年から新メンバーですでにアメリカツアーを開始しているというではないですか!発売された「Live at the Orpheum」ではアイランド期の楽曲と「The Construction of Light」の演奏が実に素晴らしい。過去の曲を演奏することを拒んできたあのフリップが、数々の名曲をたずさえての再結成ツアーです。

公演前に私が一番期待していたのは「Larks’ Tongues in Aspic, Part 1」の演奏です。今回のツアーでは毎回ではないにせよ、このPart1を演奏してくれているのです。フリップの生演奏でこの曲を聴ける可能性があるなんて誰が想像していたでしょうか。すでに終了した公演のセットリストを見ると、「Larks’ Tongues in Aspic, Part 1」、同じく「Part 2」、「Red」の3曲は演奏したり、しなかったりのようなので、できればPart1を演奏してくれますように!と願いながら行ってきました。

少し時間を押しての開演だったと思います。「演奏中は撮影禁止」などの内容を書いたステージ前の立て看板が取り外されると、自然と会場から拍手がわき起こります。「トニー・レヴィンがカメラを向けたときだけ、撮影OK」というフリップ直々のアナウンス放送後、いよいよメンバー7人の登場で盛り上がる会場。三つ揃えのスーツで現れたフリップはジャケットを脱いで脇に掛け、いつものようにスツールに座ります。昔はフリップだけ照明が逆光で暗く、顔もほとんど見えませんでしたが、今回は他のメンバーと同じ明るい照明。

1曲目はアルバム「ポセイドンのめざめ」からの「Peace - An End」で静かにスタート。その後、「メルトダウン」を含むハードな新曲群へとなだれ込みます。テロなど不安定要素の多い社会情勢と震災による原発問題を抱える日本を意識しての選曲、と私は受け取りましたがどうでしょうか。

「Live at the Orpheum」発売時に疑問視もされていた今回のトリプルドラム編成、ドラムが3人も必要なの?という声は当然ですが、実際に目の当たりにした印象は、これはまさに新たなドラムバンドだ、ということ。ステージ前列に陣取った3人のドラマーの動きが常に目を引き、主要なパフォーミングアクトを担っています。3人でたたいている時もあれば、2人でだったり、1人だったり。このパートではマステロットがたたいているのか、などそれぞれの役割を見る楽しみもあります(ギターも2人いるしね)。マステロットが左側でハードに体を動かしてたたくのに対して、右に位置取るハリソンが姿勢を正しくしてたたくのも好対象。中央のリーフリンはシンセ(機材には詳しくありませんが、まさかメロトロンではないよね?)に専念していることが多いことも分かりました。

前半のヌーブォーメタルな選曲の後、7曲目で「The Construction of Light」、以下「Pictures of a City」「 Easy Money」「A Scarcity of Miracles 」「The Letters」「Sailor's Tale」と続きます。73~74年のライブで数々の即興バリエーションを産んだ「 Easy Money」、アイランド期の名作「Sailor's Tale」を生で聴けて感涙。フリップとは反対側の向かって左側席だったからか、フリップのギター音がもう少し大きかったらなあ、とも思いましたが、後半にかけてあの独特の音色のサスティーンの効いたギターソロも多くなり、オペラグラスの揺れを押さえながら、演奏する様子をアップで見させていただきました。

場内照明が一面赤に変わる演出の「 Starless」で一旦終了。声援に答えるトニー・レヴィンがカメラで観客席を撮影していることに気付き、こちらも慌てて鞄からスマートフォンを取り出してなんとか撮影したのですが、レヴィンが撮影するのはアンコールが終わってからだと思って何も用意してなかったのは不覚でした。
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アンコール1曲目は「The Court of the Crimson King」、そして2曲目が「21st Century Schizoid Man」。
最後のこのスキッゾイドマンの演奏は圧巻でしたね。私はコンサート全体の音量をもう少し下げてもらえたらなあと思っていたのですが、というのも静かなパートも音量が大きくて激しいパートとのメリハリが少なく、音量を若干下げれば音の輪郭もさらにクリアになるのかなと。しかし、スキッゾイドマンの演奏は最初から最後まで、最大の音量音圧が実にふさわしい圧巻の演奏でした。中間部のソロパートは最初にフリップ、次にコリンズ、最後にハリソンで、このハリソンのドラムソロが実に力強い。怒濤のような演奏で終了しました。
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※フリップが前の人の手で隠れて見えない。

個人的にはパート1が演奏されなかったことに少々落胆。アンコールでスキッゾイドマンの始まりを知らせる風の効果音が聞こえると、うれしいやら悲しいやらで複雑な気持ち。スキッゾイドマンの後にパート1ってことはないでしょうからね。宮殿かエピタフ、どちらか抜いてでも演奏してほしかった。

アンコールは3曲あるかな、と思っていたのに2曲。家に帰って他の日本公演を調べてみたら、東京公演の9日と10日も3曲ではなく2曲。でもよく見ると他の公演は全部で18曲演奏していて、7日などは19曲も演奏している。それに対して私が聴いた13日は15曲止まり。しかも前日12日の大阪公演はパート1とパート2とレッドと、日替わりと思われた3曲とも演奏しているではありませんか!それに引き替え我々には、よく考えればそのいずれも演奏されていない!
どうやら曲目的には、はずれくじを引いてしまったようです。

ただ、物品販売で迷って買った「The Elements Of King Crimson 2015 Tour Box」と「RedTシャツ」は、どちらも当たりだった。ツアーボックスセットはブックレット付きのCD2枚組。先に発売されていた2014ツアーボックスセットに毛が生えたものだろうと思い、初音源が数曲だけ入った寄せ集めだろうけれど丁度持ってなかったし、ということで買ったのだが、それは私の勘違いで全くの別物だった。新たに2015ツアー用に編纂されたもので、全29曲のうち20曲がpreviously unreleased on CDとなっており、うち5曲が2014年のリハーサルorライブ。実際、私自身は聴いたことがないものがほとんどで、「Part 2」の2014年リハーサル音のあとに'74年の「Part 2」ライブ音源が続くなど心憎い演出もあり、寄せ集めでありながら全体で聴いてもうまく聴ける構成になっている。CD2のラストには、このメンバーによる2014年10月サンフランシスコ「スキッゾイドマン」が収録されているのもうれしい。
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アマゾンでも買えるようだが、会場で買えば特性タオルもオマケに付いて3,000円。こちらの方が断然お得。私は2,500円のツアーパンフを買わなかったのでわからないけれど、今から残る高松、東京、名古屋公演に行く人は、こちらの方が買い、だと思います。

前回、ライブに行った時買ったTシャツは、サイズが大きすぎてほとんど着ることがない状態だったので、若干お高いTシャツもリベンジで買ってみました。アメリカサイズであることを販売員さんに確かめてMではなくSサイズを買ったのだが、家に帰って着てみるとぴったり。ちなみにフェスティバルホールの物品販売はチケットを持ってない人でも並んで買えるように会場外に設置されていて、なんだか嵐のようだなあ、と思ってびっくりした(嵐ファンの娘は物品を買うためだけに会場に行ったりしていた)。

追伸
トニー・レヴィンのウェブダイアリーに大阪公演の模様がアップされました。2日目の会場風景に私も写っているはずですが、前から18列目の位置は小さくて確認できない。
これを見ると、1日目と違って2日目は3階席の空席が目立ちます。そんなこともセットリストに影響したかなあ。(n.m.)
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# by matsuo-art | 2015-12-15 11:06 | 音楽  

パウル・クレー展

兵庫県立美術館で催されている『パウル・クレー』展に行ってきました。
クレーの作品は画集で見たり、展覧会の中の数点あを見たことがありますが、まとめてたくさんの作品を見る初めての機会でした。

とても楽しい展覧会だったのですが、その楽しさは行く前に想像していた方向とまるで別角度の楽しさで、言葉で言い表すなら素材のワンダーランドという具合でした。
クレーの作品では、使われている素材のバリエーションが多く、支持体、画材ともに不思議な組み合わせやこだわりにあふれており、作品キごとのキャプションにそれぞれ細かく書いてあり、それを追いかけながら作品をたどりました。
例えば、わたしがとても気に入った『いにしえの庭に生い茂る』という絵では
<紙に白亜の地塗り、水彩、厚紙に貼付(本紙上下にペンによる帯)>
となっています。
他の作品『植物的で不可思議』では
<紙に黒の地塗り・水彩、水彩で彩色した第二の紙に貼付、さらに厚紙に貼付(本紙および第二の紙の外周に水彩・ペンによる枠)>
であったり、また別の作品『小道具の静物』では
<ラミー織り布に油彩、厚紙に貼付(本紙外周にグワッシュ・ペンによる枠)>
となっていてます。
紙をあらかじめ彩色しておいたり重層的に貼ったりし、その作品の縁取りにまた別の紙を彩色して貼ってあったりします。
紙の種類もいろいろで、布地も多く使われています。
図版ではにじみに見えていた絵の端の部分は、実は紙の漉いた端や布の繊維だったりしました。
糊絵の具というものも多く使われていました。
糊絵の具は市販のものではなく、クレー自身がいろんな素材を絵の具に混ぜ込んだオリジナルの画材だそうです。

この展覧会には「だれにも ないしょ。」という副タイトルがついています。
それはクレーの作品を読み解くひとつの鍵が『秘密』という言葉で表されます。塗りや貼り込の層となった作品の内側に隠された表面から見えない絵、モチーフとして繰り返し現れてくる記号や図像、いくつかの作品をつなぎ合わせることで1つの絵としてつながっていることなど、作品からはさまざまな秘密が見え隠れします。展覧会は作家の仕掛けた様々な秘密に向き合う形で構成されています。
わたし自身はテーマや図像の象徴的な扱いや意味性、世界観やモチーフそのものにはあまり惹かれることはなく、ただひたすら素材の森と、作品の見え方に没頭し楽しみました。

その中で、特に気に入った作品をいくつか取り上げます。
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さきほどあげた
『いにしえの庭に生い茂る』
<紙に黒の地塗り・水彩、水彩で彩色した第二の紙に貼付、さらに厚紙に貼付(本紙および第二の紙の外周に水彩・ペンによる枠)>
これは絵の見え方も、主題も一番好きだった作品です。

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『独国旗のある朝食』
<紙に水彩・ペン・鉛筆、厚紙に貼付>
ポストカード大の作品。小さいのに強くひきしまっています。

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『アフロディテの解剖学』
<紙に白亜の地塗り・水彩、厚紙に貼付>
図像の混じり合った見え方と、細かい表現、色合いに惹かれます。

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『快晴』
<紙に膠の地塗り・水彩、厚紙に貼付>
明快ですかっと気持ちがよい作品です。

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『都市の境界』
<紙に水彩、厚紙に貼付>
これは点の並びや形、配置や動きで作品を動かしていく様子が、水墨画の山水画の「点」の表現と近く、興味深い。
クレーの作品にはこの作品以外にも、モチーフをそのものを表現しながらも、色の流れ、筆致のあり方などの絵の構成要素のそれぞれが、別の次元で空間をが存在するような複雑な見え方をするものがあり、わたしが「幸福の絵画」と勝手に名付けている池大雅の作品の効果を思い出させ、うれしくなりました。

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『柵の中のワラジムシ』
<綿布にパステル、厚紙に貼付>
パステルの油が彩色されていない白地の綿布の部分ににしみ出しているのが見える。
画集で見たときは好きになれなかったのだが、綿布のあぶらのじわっとした存在感が非常に柔らかで愛しい作品で、大好きになりました。

実はこの展覧会は明日11月23日(月・祝)で終わります。
見に行ったのは一週間ほど前のことでした。作品のよい印象が長く抜けずに頭の中に響いているので、ぎりぎりとなりましたがよい展覧会として紹介させていただきました。

『パウル・クレー』だれにも ないしょ。
2015年9月19日(土)〜11月23日(月・祝)
兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp

                                  (Y.M.)
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# by matsuo-art | 2015-11-22 23:07  

イタリア美術紀行ーローマ編・その2(ヴァチカン美術館)

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9月23日、開館時間の9時に間に合うようにヴァチカン美術館にバスで向かいました。サン・ピエトロ聖堂の前で降りて美術館の入り口に向かうと、すでに入館を待つ人々の長蛇の列が出来ていました。なぜこんなに入館待ちの列が出来るのかというと、入場者が多いのはもちろんなのですが、その入場者を空港のセキュリティチェック並みの検査をしてから入場させているからです。(今回の旅行では、ウフィツィ美術館でも同様のセキュリティチェックがありました。)結局入館できるまでに1時間くらいかかりましたが、予約していなかったのに1時間待ちですんで良かったと思いました。

ヴァチカン美術館は、絵画館以外にも、ギリシア・ローマの遺物のセクションや古代文明のセクション、近・現代絵画のセクションなどもあり、膨大なコレクションを誇っています。そしてそれに加えてラファエロたちの手がけた壁画のある部屋や、システィーナ礼拝堂があります。

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まずは絵画館から。ラファエロやレオナルド、カラヴァッジオなどの有名な作品が目立ってはいますが、一方、カルロ・クリヴェッリやピントリッキオなどの意外な作品がこっそりとあり、「おっ!」と思わされました。

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彫刻のセクションでは、ラオコーンやベルベデーレのトルソなどが観客を集めています。ラオコーンは16世紀の始め頃ローマで出土の知らせを受けて教皇からミケランジェロが派遣されて購入したもの、ベルベデーレのトルソはミケランジェロに強い影響を与えた紀元前1世紀アポロニオスによる作品。
私はジャン・ロレンツオ・ベルニーニの天使像の粘土による試作が何体か並んでいるコーナーが興味深かったです。およそ350年もの時間を超えて、崩れかけた粘土や中の鉄芯が制作の過程を生々しく伝えているように思えました。

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ギリシア・ローマ時代の遺物を集めたセクションでは、修復中の様子を見せてくれるスペースもありました。

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さらにはエジプト文明や他の古代文明の遺物のコレクション、中世の宗教的な美術・工芸品を集めた部屋などを経て、ラファエロが手がけた「アテネの学堂」などのフレスコ画がある部屋にようやくたどり着きました。

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そして近・現代の絵画や彫刻を展示したセクションを過ぎた後、クライマックスのシスティーナ礼拝堂です。
礼拝堂の天井と正面にミケランジェロによる巨大壁画が描かれています。天井には創世記をはじめとする旧約聖書をテーマとするフレスコ画がいっぱいに描かれ、正面には新約聖書の最後の審判をテーマとするフレスコ画が描かれています。
私はシスティーナ礼拝堂の壁画を観るのはこれで3回目です。1回目は天井が修復中だったので最後の審判(修復前)のみ、2回目は天井が綺麗になっていましたが最後の審判が修復中。そして今回初めて全部が綺麗になった状態で見ることができました。
(システィーナ礼拝堂内は撮影禁止のため、写真は撮っていません。)
堂内に溢れる人々の中で、首が痛くなるほどじっくりとミケランジェロの仕事を見つめて目の奥に焼き付けた後、閉館時間の6時に近くなったので礼拝堂を出ました。結局ほぼ8時間美術館内にいたことになります。
礼拝堂からは、まるで吐き出されるようにスルスルとサン・ピエトロ聖堂の入り口脇に出て来れますが、外に出たら、朝のいい天気が嘘のように雨が降っていました。

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サン・ピエトロ聖堂に参詣し、その壮大な空間(ドームの設計はミケランジェロ、ブロンズ製の大天蓋はジャン・ロレンツォ・ベルニーニによるもの)や、中に安置されているミケランジェロの彫刻「ピエタ」を観たあと、外に出てもいっこうに雨脚が弱くなる気配がありません。思い切ってかなり離れたバス停まで雨の中を走り、バスでホテルに戻る事にしました。
本当は夕方からは、ザハ・ハディドのデザインした新しい国立21世紀美術館(MAXXI)にヴァチカンから向かい、帰りはまたローマを夜散歩しながらホテルに戻ろうと思っていたのですが、もうミケランジェロの仕事で締めくくった後は何も観なくていいや、という気分でした。

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明日は朝一番でチェックアウトして空港に向かい、日本に帰るため飛行機に乗ります。これにて今回のイタリア美術紀行は終わりです。(Y.O)
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# by matsuo-art | 2015-10-29 16:30 | 美術  

イタリア美術紀行ーローマ編・その1(ローマ夜散歩)

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9月22日夕方、ローマ、テルミニ駅に着きました。アッシジから鈍行列車で2時間半ほどの距離です。
ホテルにテェックイン後、テルミニ駅前のバスターミナルからすぐにローマ現代美術館(MACRO)に向かいました。ここは新しい美術館で、今回訪れるのを楽しみにしていました。行ってみると建物はきれいでかっこよく、カフェやショップなども充実した感じでしたが、どちらかというと常設のコレクションを持たない研究施設のような感じです。この時期観るべき展示もやっておらず、ちょっとだけ中を歩いてみて早々に出てきてしまいました。

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この時間からではもう他の美術館もしまっているし、教会に入るのも無理かもしれません。せっかくだからバスには乗らずに、夕方のローマを特に目的なくぶらぶら歩いてみる事にしました。
ローマは、24年前にイタリア政府留学生だったときに、数ヶ月毎に外務省に顔を出さなければならなかった折や、しばしば知人宅に滞在させてもらったりして、訪れるたびにけっこう歩き回ったのでよく知っているつもりでしたが・・・、なにしろ24年前のことですから位置関係などもあやふやになっており、簡単な地図を片手の散策です。

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MACROから、ローマ時代の城壁ピア門を経て、9月20日通りに沿って中心街の方に向かって歩いて行きます。共和国広場や、ミケランジェロが古代ローマの遺跡跡を利用して設計したサンタ・マリア・デリ・アンジェリ教会を経て、さらにナツィオナーレ通りを歩いて行くと古代ローマ、トラヤヌス帝時代の遺跡フォロトライアーノに出くわしました。トラヤヌス帝の記念柱が立っています。ここからヴェネツィア広場を挟んだ向こうにヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂も見えています。今回ローマに来て初めて「ローマだ!」っていう気持ちになりました。そしてそこから、とりあえずパンテオンを目指して歩いていくことにします。

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パンテオンは古代ローマの汎神殿で、現在は教会になっています。ラファエロなどのお墓もここにあります。
(このような巨大ドームを架ける技術は古代ローマ以来長らく失われていましたが、初期ルネッサンスの建築家ブルネレスキがフィレンツェのドゥオーモの巨大ドームを架ける方法を考案し、復活させました。)
パンテオンは開館していたので中を観れましたが、観光客で渦巻いていました。

パンテオン内を早々に出て、トラステヴェレに行ってみることにしました。もう日が落ちて大分暗くなってきています。トラステヴェレはテヴェレ川を渡った向こう岸の庶民的な町で、「ピッツァを食べるならトラステヴェレが良い」とガイドブックに書いてあったので。

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トラステヴェレは本当に活気があって人通りも多く、どこのレストランやピッツアリアもものすごく賑わっています。そんな地元の人で溢れる忙しそうなピッツァリアの一軒に入り、茄子のピッツアを食べた後、再びテヴェレ川の中の島であるティベリーナ島に架かる古い橋を渡ります。そしてそこから古代の劇場跡のマルケルス劇場を経て、ミケランジェロの設計したカンピドリオ広場を目指して丘を登っていきます。

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カンピドリオ広場は、アンドレイ・タルコフスキー監督の映画「ノスタルジア」のラストの、世を憂う初老の男性が演説するシーンで出てきた、あの広場です。広場中央にマルクス・アウレリウス騎馬像が立っています。
広場を横切って丘を下っていくと、古代ローマ時代の政治・経済の中心地だったフォロロマーノがあります。そしてさらにその暗い古代の遺跡を右に見ながら東に進むと、古代の闘技場コロッセオが見えて来きます。
そしてコロッセオから、ネロ帝の黄金宮殿(ドムス・アウレア)を横目で見ながら坂道を登り、カブール通りを目指して北へ進みます。

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カブール通りをしばらく行くとサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂が見えて来きました。4世紀に建てられて以来、改築を重ね現在の姿になったという古い歴史を誇る教会であり、ローマのランドマークの一つです。ここまで来るとテルミニ駅近くの投宿先のホテルはもうすぐです。

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これで大体ローマ旧市街の中心部分を、ぐるっとほぼ半周した感じになります。ホテルに帰り着いたのは夜中になってしまいました。
明日は いよいよヴァチカンに行きます。(Y.O)
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# by matsuo-art | 2015-10-28 11:37 | 美術