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MIHOミュージアム「若冲と蕪村」展、滋賀県立陶芸の森 陶芸館「岡本太郎の言葉とともに」展

滋賀県に行って、MIHOミュージアム「若冲と蕪村」展と滋賀県立陶芸の森 陶芸館「岡本太郎の言葉とともに」展を見てきました。
(「若冲と蕪村」展はすでに終了、「岡本太郎の言葉とともに」展は9/23(水)まで。)
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「若冲と蕪村」展には若冲の晩年の大作「象と鯨図屏風」を見るのが目的で行ったのですが、「粟に雄鶏図」など他にもいくつか若冲の興味深い水墨画を見ることができました。若冲だけでなく狩野探幽や土佐光起も模写したという相国寺所蔵、14世紀の中国絵画「鳴鶴図」が若冲の模写と並んで展示されていて、印刷物でよく目にしていた作品ですが、こうして端整に描かれた実物を見ると、当時の日本の絵師がお手本にしたという理由も分かります。

MIHOミュージアムは遠い滋賀の山奥にある美術館なので、出掛けるまではいつも躊躇しますが、行ってみると何かしら質の高い魅力的な作品に出会えます。図録を見ると4期に分かれた会期の作品入れ替えの中で、若冲だけでも多くの作品が集まっていたと分かり、この美術館の企画力に改めて感服します。

ちなみに私は南画系の絵にあまり関心がないので蕪村に関しては銀地屏風とあと1点以外は特に感慨はありませんでしたが、そもそも同じ年に生まれ、20年ほど京都のごく近所に住んでいた2人が、交友関係が重なっているにも関わらず交際があったという記録が一切残っていないというのも面白い。たぶんお互いに、あるいはどちらかが一方的に嫌っていたのだと思いますが、その2人が生誕300年後に同じ展覧会をしてるなんて思ってもいなかったでしょうね。
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滋賀県立陶芸の森 陶芸館「岡本太郎の言葉とともに」展は陶芸作品の展覧会で、立体制作で信楽とも関係の深かった岡本太郎を軸に構成された企画です。太郎のやきものの外に、パプアニューギニアの土器、子どもの土の造形、障碍のある人や現代作家の作品なども展示されています。小ぶりの展覧会ではありますが、こちらの方も思いのほか充実した展覧会でした。
太郎が撮った縄文土器の写真と合わせて、その被写体となった縄文土器の実物が2点展示されていたのですが、これらの造形が途方もなく豊かで感動的でした。この2点に出会うだけでも価値があると思いますが、太郎が信楽で初めて焼いたという愛らしい「犬の鉢植え」や、奈良美智、島武巳の充実した現代作家の作品も印象的でした。
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同じ滋賀県立陶芸の森敷地内ある信楽産業展示館では、「信楽焼の近代とその遺産ー岡本太郎、信楽へー」(9/30(水)まで)という無料の展示も行っているので、「岡本太郎の言葉とともに」展を見に行く人はこちらも忘れずに立ち寄ってください。信楽焼の歴史とともに、岡本太郎が信楽で焼いた「座ることを拒否する椅子」や、太陽の塔背面の「黒い太陽」に関する展示などがあります。「座ることを拒否する椅子」のデザイン案など、なかなか貴重な資料もありました。

こちらは赤字で大きく「撮影可」と書いてあったのでいくつか撮影しましたが、中には「撮影かぁ〜?」と書いているのもあって、どこまで撮影して良いのやら悪いのやら、よく分からないので1枚だけ会場風景を載せます。(n.m.)
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by matsuo-art | 2015-08-30 18:21 | 展覧会  

「舟越 桂 私の中のスフィンクス」展 兵庫県立美術館

兵庫県立美術館で開催中の、舟越桂展に行ってきました。
学生の時、多摩美術大学にて開催されたグループ展に友人が参加し、その手伝いに行ったことがありますが、
舟越さんもその展覧会に出品されていました。
1985年のことです。
その頃からすでに注目されていた舟越さんの具象彫刻は、現代美術の新しい様相を提示した感がありました。
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今回の展覧会では広い空間にその作品1点のみが展示されている部屋が2つあります。
照明も含めたその展示の仕方と作品の求心力によって、非常に魅力的な空間が立ち現れています。
特に最初の部屋では、そこに入った瞬間にしてはっと立ち止まってしまうような軽い衝撃を受け、
この展覧会全体の質の高さというものを感受してしまうような空間になっていたと思います。

スフィンクスシリーズの力のこもった大きな作品や、
二つの頭部を持った作品、
あるいは作家のフェティッシュを感じる角の作り込みなどに引き付けられながらも、
いつも行う「この中で1つ買うとしたらどの作品か?」という問いかけを自分にしたら、
初期の作品群の中の静かなたたずまいの1点になりました。

家に戻って買ったばかりの図版を開けるとその作品が
最初の方のページに複数の写真で紹介されているので、
なるほどこの作品は特別なのだと得心しましたが、
この控えめな作品が醸し出す、言語化し難い、あるいは言語化しなくてもよいような、
美術作品の存在価値というものに改めて感じ入った次第です。

ところで、この展覧会のチラシなど広告物のデザインは、
研究室の年間パンフをデザインしてくれているツムラグラフィークさんによるものです。
そうとは知らずにO先生が以前授業の中で分析していたように、
このチラシは文字や図像をフォーマルに構成しながら、
静謐な展覧会の内容を伝える美しいデザインになっていると思います。(n.m.)
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by matsuo-art | 2015-08-18 12:05