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長沢芦雪「白象黒牛図屏風」 テレビ東京「美の巨人たち」

本日のおすすめTV番組です。テレビ東京「美の巨人たち」(10:00pm〜10:30pm)で長沢芦雪の「白象黒牛図屏風」が紹介されます。
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「白象黒牛図屏風」は、私が初めて芦雪に魅せられた作品。京都芸大の図書室で何か面白い作品はないかと美術本をあさっていてこの作品を見つけた時に、ひとり興奮していたのを覚えています。
当時は芦雪のことを全く知らなかった。名前も、難しい漢字の「蘆雪」で記述されていたので、読み方も覚えられなかった。30年ほど前の話。

大きな黒牛と白象が画面いっぱいに、はみ出すほどに描かれている。そこに小さな白い犬と黒いカラス。犬やカラスに目を写すと、大きすぎる牛と象は背景になって、視線から”消える”のです。視線によって見え方が変わるというこのような構成を、芦雪はたびたび試みています。
大胆で明確な対比がこの絵のきわめてユニークなところですが、牛、象、犬、カラスがそれぞれ正統に、豊かに描かれているところが作品の魅力の核であることも付け加えておきましょう。

この作品はジョー・プライス氏が購入したときには相当痛んでいたようで、当時比較的安い値段だったとは言え、その何倍もの金額をかけて修復されています。プライス氏が購入していなければ今こうして目にすることが出来なかったかもしれない、と言うことを考えると、プライス氏に感謝しなければいけません。(n.m.)
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by matsuo-art | 2013-06-29 11:43 | TV  

建築家の坂 茂氏 テレビ東京「カンブリア宮殿」ゲスト

本日放送のおすすめ番組を1つ紹介します。テレビ東京の「カンブリア宮殿」(10:00pm〜10:54pm)、ゲストは建築家の坂 茂(ばん・しげる)氏です。

坂氏は、住宅、公共施設から災害支援に至るまで、世界各地で多くのプロジェクトを手がけている建築家です。パリの美術館、ポンピドーセンターの分館「ポンピドゥーセンター・メス」が代表作ですが、中国製の帽子をヒントに得たというその建築は、箱状の幾何形態的構築物の上を、木材で編んだ白い有機的な形状の屋根が覆った、とてもユニークな建築です。
坂氏は現在、京都造形芸術大学芸術学部環境デザイン学科教授でもあり、5月までは水戸芸術館で個展も行われていました。

写真下がポンピドゥーセンター・メス(水戸芸術館個展パンフレットより)
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坂氏と言えば、再生紙でできた安価な「紙管」を使った仮設建築でも知られています。「紙のログハウス」「避難所用簡易間仕切り(Paper Partition System)」などの災害支援へと発展させていますが、その最初期の試みは、阪神淡路大震災で全焼した長田区鷹取の教会を、仮設聖堂として紙管材で立ち上げたものです。

小説家の村上龍氏が司会のこの番組は経済番組ですから、普段のゲストは経済界の社長や会長です。建築家のゲストはめずらしいですが、コストや人材確保の面からの言及もあるかもしれません。ただ、村上氏が坂氏の活動に共感して、ぜひともゲストに呼びたかったのかなあ、とも想像します。(n.m.)
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by matsuo-art | 2013-06-13 13:53 | TV  

是枝裕和監督「そして父になる」 第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞

ちょうど1週間前の5月27日(月)未明に、是枝裕和監督作品「そして父になる」が、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞しました。この映画は、先日亡くなられた俳優の夏八木勲さんの最後の映画でもあります。

夏八木さんも出演していたテレビドラマ「ゴーイング マイ ホーム」で見せていた映像表現の質の高さと、9年前にカンヌで主演男優賞を獲った「誰も知らない」に通じる社会性、普遍性のある内容と、両方を併せ持った作品であろうと思っていたので、パルム・ドールでなくても何かの賞は獲るのではないかと期待していました。受賞して本当に良かったと思います。
審査委員長のスティーブン・スピルバーグ氏も「『そして父になる』は映画祭の期間中、なにかしらの賞から外そうと思ったことは無かった」と是枝監督に語ったそうです。

受賞式の様子をTVの生中継で見ていて気づいたことは、カンヌの賞の種類は思いのほか少ないのだな、ということです。映画の授賞式でまず思い浮かべるのはアメリカのアカデミー賞ですが、アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、主演女優賞の他に、監督賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、編集賞、作曲賞、録音賞、衣装デザイン賞、などなど、裏方に対する賞を含めてたくさんあります。助演男優賞、助演女優賞もあります。

それに対し、カンヌのコンペティション部門は、最高賞のパルム・ドールの他には、グランプリ、監督賞、脚本賞、女優賞、男優賞、審査員賞、があるだけです。調べてみると、ヴェネツィア国際映画祭も同じような感じですね。

そもそもアカデミー賞は「映画祭」とは言わない、ということを今回初めて知りました。「映画祭」は基本的に”新作”を上映して賞を与えるものだそうです(国内だけでの上映済みはOK)。アカデミー賞は、その年に上映された映画の中からノミネート作品を選んで賞を与えるので、発想が逆になりますね。アカデミー賞のイメージを映画祭に当てはめること自体が違う、ということです。

映画祭での賞の少なさを考えると、今回の審査員賞受賞もそうですが、2004年にカンヌという国際舞台で「誰も知らない」主演の柳楽優弥氏が男優賞を獲得したのは、最年少受賞ということも含めて本当に画期的だったのだなあ、と改めて思います。

「そして父になる」の撮影監督は広告などをよく手がけている写真家の瀧本幹也さんです。瀧本さんは、写真集「SIGHTSEEING」でユーモラスかつフォーマルなスナップ写真を撮っていて私も好きですが、撮影監督をされていると知ってびっくりしました。映画のような動画の仕事もいままでにされていたのでしょうか?「ゴーイング マイ ホーム」も瀧本氏だったのかなあと思って調べてみましたが、これは違うようです。

「そして父になる」の国内上映は10月5日から。まだまだ先になりますが、待ち遠しい限りです。(n.m.)
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by matsuo-art | 2013-06-03 22:54 | 映画