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「現代絵画のいま」展 兵庫県立美術館 

兵庫県立美術館「現代絵画のいま」展に行ってきました。「映像や立体などさまざまなジャンルが花開く今日の美術にあって、絵画はどのような表現を展開し、どのような方向に進んでいるのでしょうか」という趣旨で、中堅から新人まで14人の作家の作品を展示した展覧会です。いろんなタイプと手法の作品が並んでいますが、分かりやすい言葉で書かれた各作家の短い説明文が渡されるので、それを手がかりに観ていくことが出来ます。

私が興味をもった作品は、横内健太郎氏の、サテン地の基底材を染めて描かれた作品です。遠目で観るとぼやけた形象による抽象画ですが、近寄って良く観ると、人物などの図像が微かに光の反射で見えたりします。図像の扱いや手法は、ジグマー・ポルケのある種の作品を連想させますが、サテン地にしみ込んだ色の重なりと、サテン自体のつややかなテカリとが醸し出す質感が、独自の趣きをだしていました。

同時開催の常設展示では、白髪一雄氏と元永定正氏の大型の作品が2点並んでいました。どちらの作品も今までに何度か観ているものです。それぞれ脂ののった時期の代表作であると思いますし、好きな作品ですが、今回気がついたのはどちらも1962年制作の作品だということです。
1962年と言えば、私の生まれた年。慣れ親しんだ作品がそのような関連のある年に制作されたと知って、少し見え方が変わるようなところもありました。

元永定正氏は、私が京都市立芸術大学の学生だった頃の一時期、油画の先生として大学に来られていました。元永先生の教えは、”とにかく大胆にやりなさい”ということで、分かりやすいとも言えるし単純だとも言える感じだったのですが、講評の時に「こんなん全然あかん」と私の作品をばっさりと否定された時のことはよく覚えています。

4回生の時だったと思いますが、当時私は、フォーマリズムの行き詰まりとネオ・エクスプレッショニズムの荒波の中、フォーマリズムを継承しつつ図像を描くことを模索していました。そのために立てたあるコンセプトに基づいて作った大作をグループ展で発表したのですが、それを授業の講評で出したときに、一刀両断で否定されたのです。そして、「描き始めた途中で、あかんな、と思ったら、そこでやめたらええやん」とも言われました。確かにそのとおりで、私は作り始めたものの、それは自分でも成功していない作品だと感じていました。でもすでに大きなパネル3枚に布も張って描き始めたのだから、と描いていたのです。要するにコンセプトに溺れて大切なものを見落としたまま制作していたのですが、そんなところまで見透かされた上にはっきりと否定されて、目が覚める思いでした。と同時に、さすがに長年美術の現場で制作されてきた先生だな、と思いました。
元永先生のひと言は、私の作品のひとつの転機となったと言えます。
(n.m.)
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by matsuo-art | 2012-12-21 22:07 | 展覧会