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須藤絢乃さんの展覧会

当研究室卒業生の須藤絢乃さんから展覧会の案内が届きました。
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会期:2010年9月2日(木)~9月11日(土)※月曜休館
公開ディスカッション:9月4日(土)14:00~16:00
会場:アートコートギャラリー
開館時間:11:00~19:00(土/日は~17:00)
所在地:〒530-0042 大阪市北区天満橋1-8-5 OAPアートコート1F
電話:06-6354-5444/FAX:06−6354−5449

須藤さんは現在、京都市立芸術大学/構想設計の大学院2回生です。昨年は研究室の臨時講師として数日、実技指導の手伝いにも来てもらいました。その前には何度か、人物デッサン・着彩のモデルにもなってもらったこともあります。

こちらは須藤さんのブログです。
DIE MADCHENZEIT DER ZUCKERPUPPE
今回出品する作品を制作している様子がアップされていて、興味深いので見てみてください。京芸の学部卒業制作展に出品したこの作品の再制作をしているようです。
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須藤さんは昨年の9月から12月にかけてフランスに留学していて、その時の様子のことなども書いあります。実は私もブログにリンクしているportfolioのページ(過去の作品写真が載るページ。須藤さんが英語で解説をしている)は以前から知っていたものの、こちらのメインブログがあることは最近知ったばかりで、この間からちょこちょこ遡って読ませてもらっているところです。
たぶんパリ市立近代美術館だと思うのですが、マチスの大きなダンスの作品の前での記念写真、いいですね。うらやましい。とても気持ちの良さそうな空間です。(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-08-26 22:57 | 展覧会  

「生存のエシックス」展とWhole Earth Catalog

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僕も「生存のエシックス」展に行ってきました。M先生の書かれた記事を読むと、どうやら同じ日に行ったようです。

この展覧会を既に観た人から、「観た人が皆、頭に『?』をいっぱいつけて会場から出てきてるらしいよ」と聞かされていたのと、前もって図録(バインダー形式の面白いデザインのものです)を見せてもらっても、やたら細かい字でぎっしりとたくさんの言葉が詰まっている印象で、観に行く前は「いったい何が言いたい展覧会なのか」が感覚的にはほとんど掴めなかったのです。

展覧会を実際に一通り巡ってみても、ぶっきらぼうと言っていいような展示物のありようと、説明文の掲示の方法の不親切さに、その感は変わりませんでした。

しかし、もう一回りしてみようと思って、会場に上がる階段ホールの上部を何気なく見た時、Whole Earth Catalogの表紙の映像が象徴的に投射されているのが目に入ってきました。そして「この展覧会は、21世紀における知のWhole Earth Catalogを作ろうと意図したものなのだ」と悟りました。本当にそうなのかどうかはわかりませんが、そのようにWhole Earth Catalogという補助線を引くことによって、自分なりに展覧会の意図がはっきり見えてきたように思えたのです。(Whole Earth Catalogは入ってすぐの部屋に現物も展示されていましたし、内容も壁に投射されていました。)
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Whole Earth Catalog(全地球カタログ)とは、'60年代の終わり頃から'70年代の初めにかけてアメリカでスチュアート・ブランドを中心とした編集チームが発行していた商品と情報のカタログです。
その内容は、
Understanding Whole Systems(全体システムの理解)
Shelter and Land Use(シェルターと土地の利用)
Industry and Craft(産業と工芸)
Communications(コミュニケーション)
Community(コミュニティ)
Nomadics(放浪生活)
Learning(学習)
にカテゴライズされ、編集チームによって全地球上から厳選された商品や情報が大判の紙面にぎっしりと掲載されており、またそれらの商品を実際に購入することもできました。今はウェブサイトで内容を閲覧することができますが、バックミンスター・フラーのテトラ構造のシェルターやジョン・ケージの姿なども見えることから、その内容は当時の(西海岸を中心とした)アメリカの対抗文化の状況を反映し、またそれをリードするものだったことがわかります。

このようなWhole Earth Catalogという補助線から見えてきた「生存のエシックス」展は、「21世紀のオルタナティブな知の状況のカタログ(の一部)である」ということです。
カタログというものが、商品の羅列に読み手が自由にアクセスするためのツールであるように、「生存のエシックス」展も、各自の研究成果の羅列に観る人が自由にアクセスして、プロジェクト相互の関係性や内容の誤読(誤読とは、作者の意図に関わらずに観る人が創造的に解釈すること)から自由に自分の理解や経験を作っていくためのツールとしての展覧会だということです。バインダー形式の図録もそのような展覧会のあり方を物語っているように思えました。つまりコンテンツはこれからも増え、アップデートしていく可能性があるし、自分でコンテンツを創作して挟み込んでいくこともできる、ということです。

だから、このような展覧会は単に観ているだけではあまり面白くないと思います。実際にTさんのように参加してみるとか、展示物に積極的にアクセスしてみるとか、藤森照信さん(建築家)や中村哲さん(ペシャワール会)など企画されたたくさんのレクチャーにマメに参加するとか、この展覧会から得た新しい情報をさらに自分で深めてみるとか・・・。
一方で各プロジェクトの(現時点での)内容の評価という問題はあると思いますが、そのように美術館自体を大きなワークショップルームにしてしまったこの展覧会は、これからの美術館のありようの一端を示したという意味でも高く評価されるべきだと思いますし、これから京都芸大内でも本展を引き継ぐような形で様々なプロジェクトが立ち上がって学際的な研究が進むといいと思いました。

下はM先生が撮り忘れたという美術館前に建てられた土のカフェです。僕もこういう土の建造物が大好きなんです。(Y.O.)
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by matsuo-art | 2010-08-21 21:27  

京都国立近代美術館「Trouble in Paradise/生存のエシックス」展

京都国立近代美術館「Trouble in Paradise/生存のエシックス」展に行ってきました。

京都市立芸術大学創立130年記念行事の1つでもあるこの展覧会、私の先輩や同期の作家、および海外の作家で構成された12のプロジェクトが展開されています。正直、取っつきにくいタイトルで一般の人はなかなか行きにくいと思いますし、実際、普通の美術展を求めて入館した人には科学実験博覧会然とした展示に違和感を覚えるでしょうが、結論から言うと、とても楽しめる企画でした。

ただし、私は事前にネット上にある情報を読んでおおかた内容を理解して行った上に、プロジェクトチームのまとめ役の高橋悟さんの解説ツアーに会場でちょうど参加できたおかげで、十分に楽しめた側面もあります。説明を聞かないと面白さがわからない部分もありますので、行った人は積極的にスタッフや作者の人に話を聞く事をお薦めします。また、小学生の息子といっしょに行ったのですが、子供がちょうどはまる体験型展示が複数あって、そうした意味でも楽しめました。

さて、美術館に着くとまず、入り口の外に土壁による建造物があります。井上明彦さん制作のアクアカフェです。井上さんご本人もおられましたが、その手伝い人に当研究室出身の一回生Tさんがいたのでびっくり。
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アクアカフェは120年前の明治時代にできて美術館脇にも流れいている琵琶湖疎水の水と、開発の為に壊された江戸時代の民家の土、竹林の竹、からできた建造物です。中では非常時のために備蓄している飲料水「疎水物語」を、変わった形をした容器から自由に一つ選んで振るまってもらえます。120年前の開発の恩恵や、現在の開発で失っていくものを顕在化させて、そこに各自が思いを馳せるプロジェクトになっていると思います。ユニークな外装の写真を撮り忘れたので、それは下記エシックス展ブログを見てください。

これは石原友明+中原浩大による「盲目のクライマー/ライナスの散歩」です。二人の作家の違う意図を一つの形態に重ねたという意味では異色のプロジェクトですが、どちらかというと石原さんの意図を強く感じる企画でした。息子が特にこれに反応して、何度も上ったり降りたり滑ったりしていました。
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こちらは中原浩大+井上明彦による「関係概念としての知覚的自己定位の研究」。むずかしいタイトルですが、要するに宇宙空間でライナスの毛布(安心感と結びついた感覚を与えるもの、スヌーピーとチャーリーブラウンより)にとってかわるものなどの考察です。
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高橋悟+松井紫朗の「Trans-Acting: 二重軸回転ステージ/浮遊散策」。微細な波のように揺れる大掛かりな円盤装置の上に乗ることができ、映像が投影されていきます。
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こちらは海外の作家による、とても小さな音を聞くことができるマイク。これを木の幹に差し込めば樹木を食う虫の音を聞く事ができて、将来的には虫とコミュニケーションするツールとしていきたいという。他にも犬よりも高度ににおいを嗅ぎ分けることのできるハチを使って病気のにおいを嗅ぎ分けさせ、診断に利用する研究をしている作家の作品もあり、これら冗談とも本気ともわからないような研究ですが、そうした発想は理系の専門からは出てこない芸術系ならではですし、それぞれちゃんと国から補助金をもらって研究しているというのも面白いところです。
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今日は視線を共有する装置のワークショップも行っていました。
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会期は残り二日ですが、今から行く人は事前には次のページを見ておくと良いと思います。
生存のエシックス ブログ
高橋悟さんのインタビュー(AMeet京都から世界へ)
高橋悟さんによるカタログ掲載の歩行ガイド
カタログ掲載の歩行ガイドについては、いきなり柄谷行人や蓮實重彦への言及から始まるのでその手の本を読んでないとむずかしく感じますが、本文04、05、06、07は具体的な展示の解説でわかりやすくなっています。
(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-08-20 22:32 | 展覧会  

キャノン総合デザインセンターのIさん

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今日は研究室の卒業生、Iさんが立ち寄ってくれました。彼女は京都市立芸術大学のプロダクトデザインを卒業してキャノンに入社、本社総合デザインセンターでカメラ部門のデザインに携わっていいます。就職活動時のことや近況など、話を聴かせてもらいました。

デザイン科学生の就活は、私が学生だった時代でも4回生前の春休みに企業研修へ行くなどして、3回生の終わりにはすでに始まっているという感じでした。Iさんが内定をもらったのは4回生の5月初旬頃と言っていましたが、それまでにすでに数社から不採用となっていたそうですから、就活も根気が必要です。

京都芸大のデザイン科は、入学して半年が総合基礎、デザイン基礎が1年間、2回生後期の制作展を経てプロダクト、環境、ビジュアルの専門に分かれるのは実質3回生からと、入学時から専門に分かれている他の芸大に比べるとかなり出遅れてしまいます。例えばプロダクトデザインで入学し、1回生からいきなり上回生とチームを組んで実際的なデザインを学ぶ金沢美術工芸大と比べれば、その差は歴然です。

ただ、それでもこのような大手企業から求人が来るのは、他の国公立大や難関私立大同様、京芸の利点です。必要な実技能力の基本は大学入学時にすでに付いていますし、専門以外のことをやっていることで培われる新鮮な発想とか、企業にとっても何か求める能力が京芸生にもあるのでしょう。

しかし、実際に就職できるかどうかは本人次第、Iさんは難しい就職試験を段階を踏んで最後の実技試験まで行き(新しいプリンターのデザインという課題だったそうです)、見事合格したわけです。

もともと高校時代から写真に興味を持っていて、自分で撮った写真をホームページに載せていたIさん、最終的にそうした経験がカメラ部門のデザイナーとしての採用につながったということです。6月25日の教室通信にも書きましたが、やはり、いろいろ興味を持って行動していると、将来の糧になりますね。

ただ、Iさんが愛用していたカメラはキャノンではなくニコンだったので採用試験の面接でもそのことを正直に述べたそうです。問題なく採用されてますから企業にとってそんなことは関係ないのでしょうが、今日もIさん愛用のニコン一眼レフ銀塩カメラで我々の記念写真を撮ってくれました。

Iさんが京芸に入学した年は他にも3名、この研究室から京芸デザイン科へ合格しましたが、それぞれ任天堂、アシックス、コイズミ照明に就職、元気にがんばっているようです。

ところで冒頭の写真は私が愛用しているキャノンのデジカメIXY Digital 10です。少し前の機種ですが、曲線を使ったデザインの多いデジカメの中、シンプルな矩形にまとめられたデザインが気に入っていて、Iさんに見せると、「これ、いいですよね、」と好きなデザインだと言ってくれました。(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-08-14 23:37 | デザイン  

パラモデル展とギャラリー白

西宮市大谷記念美術館の『パラモデルの世界はプラモデル展』と、いくつか前の記事で紹介されているギャラリー白の「絵画のたのしみ」展に行ってきました。
当研究室の生徒さん2人とm先生もご一緒しました。
「絵画のたのしみ」展では、記事を書かれたO先生とは時間差で会いできず、生徒さんたちは絵の具のことや絵のテーマについて知りたいことがあったようで、後日お話を聞かせて頂くことを楽しみに、ギャラリーを後にしました。

パラモデルの展覧会は展示室を広々使ったインスタレーション、アニメーション、写真、ドローイング等々の作品が展示されていました。
この展覧会は、なんと!どの展示室も写真撮影OK!!とのことで、写真を交えてレポートをさせて頂きます。
とはいえ、美術館で写真を撮ってはいけないという気持ちがあって、なんとなくオドオドしながらも何枚か撮らせていただきました。当研究室の生徒さんたちも、とってもとても小さく映っていますよ。
「パラモデル」は京都市立芸術大学卒の林泰彦さんと中野裕介さんのお二人のアートユニットです。
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床や壁や天井に伸びていくように展開された「プラレール」のインスタレーションは、プラレールの青、氷山の様なオブジェの白と壁の白とが、ひんやりクーラーの効いた空気にぴったりとはまっていました。
作品に使った素材や道具類、設計図などが一緒に置いてあるところが興味深いです。
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美術館の離れの茶室や蔵にも展示があります。
畳の上に並べられた「回転トミ寿司」、しゃれの効いた作品、細部が凝っていてじいっと眺めてしまいます。気に入って長く見入っている人も多かったです。
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押入の中のアニメーション。押入前の部屋の隅っこに座って見ている人の様子も面白かったです。
イヌが飛び回る映像で、このイヌのキャラクターがモチーフとしてあちこちに出てきます。
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パイプを使ったインスタレーションです。
設計図、間取り図をイメージしたドローイングや絵があちこちに展示されていて、常に展開中、建築中、増殖中など、継続感のある作品群でした。

それぞれが大きい流れと細かい部分を持っているので、見所たっぷりでした。
おもちゃやポップなモチーフも多いので子供たちも楽しめる、夏休みにぴったりの展覧会です。
オススメしたいのですが、残念ながら8月1日まででした!!
京都のMORI YU GALLERYにて個展をしておられるそうです。会期は2010年07/18〜08/28(08/15〜08/23は休廊)。夏休みを利用して、京都のギャラリーに足を運んでみるのもよいですね!
(y,m)
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by matsuo-art | 2010-08-01 16:42 | 展覧会