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京都市立芸術大学作品展

京都市立芸術大学作品展が開催中です。
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  ●日時:2010年2月10日(水)〜14日(日)
      9:00a.m.〜5:00p.m.(入場は4:30p.m.まで)※各日・各会場とも
  ○第1会場 京都市美術館(本館 左京区岡崎円勝寺町124)
  ○第2会場 京都市美術館(別館 左京区岡崎最勝寺町13)
  ○第3会場 京都市立芸術大学(西京区大枝沓掛町13−6)

他の芸大美大でこの時期催される展覧会は卒業する4回生・院2生が出品、展示する"卒展"ですが、京都芸大では毎年、学生全員(約700名)が出品する作品展(卒展を含む)を開催しています。1回生から4回生、大学院生の作品まで観ることができます。当研究室から進学して、非常勤として大学に残ることが決まっている修士2年のMさんは学内展示のようです。

昨年まで学生の自主運営であった学内展(大学キャンパス)でしたが、今年から「作品展委員会」という自治会組織を発足し、美術館の展示とあわせて統一した作品展として展開しています。そうした理由で今年のパンフレットは統一したビジュアルで作られていたのですね。

京都芸大に限らず芸大美大を志望している人は、受験する年には作品展や卒展を見に行くことはできないので(推薦入試などで合格していたら別ですが)、興味のある大学には高校1年、2年のうちに行っておくと良いと思います。(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-02-12 14:50 | 展覧会  

グスタボ・ドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ

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私は自分の興味の赴くところジャンルに関係なくいろいろな音楽を聴いているのですが、最近、我が人生2回目のクラシック音楽ブーム真っただ中です。

近頃はドイツグラモフォンやハルモニアムンディ、デッカといったヨーロッパの老舗クラシックレーベルが、自分のとこの膨大な録音の中からチョイスした名盤の数々を30枚組とか50枚組のボックスセットにまとめて超激安価格で売っているのですが、去年はそんなボックスセットをいくつか買って聴いていました。

中でもドイツグラモフォンの創立111周年記念の55枚セットのボックスはめちゃお薦め。名盤てんこもりで激安。これはほんとに買って得しました。
この中には以前から好きで良く聴いていたポリーニやアルゲリッチのショパン、ブーレーズのストラビンスキー、ガーディナーのモンテヴェルディ「聖母マリアの夕べの祈り」、ミケランジェリのドビュッシー、ベームのモーツァルト「レクイエム」、リヒターのバッハ「ミサ曲ロ短調」なども含まれていてその分はダブりになってしまったものの、前から聴いてみたかったエマーソン弦楽四重奏団のバッハ「フーガの技法」やギレリスのベートーヴェン、ポゴレリッチのスカルラッティ、ヴァルヒャのバッハのオルガン選集、ほかにもラヴェルやベルリオーズ、ラフマニノフなど、欲しかったディスクがざくざく出てきて嬉しい。

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そんなお宝ボックスのなかに、名前も聴いたことの無いまだ若い演奏家のディスクが入っていました。グスタボ・ドゥダメル指揮、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラの演奏するマーラーの交響曲第5番。これは嬉しい発見でした。
重々しく晦渋で難解な音楽というイメージのマーラーですが、これはほんとに若々しくスリリングな演奏、シャープで爆発的で凄くかっこいい音なのです。とにかく音楽をするのが楽しくてしょうがないというような自発性に満ちた音で新しいマーラーの世界を開いていて、とても感銘を受けました。

こんな素晴らしい音楽を演奏しているのはどんな人たちなのだろうと思って調べてみると、指揮者もオケもベネズエラ出身で、ベネズエラが国を挙げて行っている「エル・システマ」とよばれる音楽教育の中から出てきた音楽家たちであるとのこと。
彼らについてさらに深く知りたくなった私は、こうしたベネズエラにおける音楽教育の実践についてのルポ「エル・システマー音楽で貧困を救う南米ベネズエラの社会政策」(山田真一著/教育評論社刊)という本を読んでみることにしました。

エル・システマという音楽教育が生まれてきた歴史的経緯やその背景についてはその本に詳しく書かれていますが、長くなるのでここでは割愛するとして、要点としては、

1)貧富の差が激しいベネズエラでは貧しい子どもたちが犯罪に走らないように、「エル・システマ」という課外教育の実践が30年ほど前から行われている。

2)貧しい子どもたちに無償で音楽を教え、無償で楽器を貸し、先輩が後輩を教え、オーケストラで合奏しといったシステムによって、音楽を演奏する喜びを知り、他者との協調性を養い、それが犯罪の抑止にもつながっていき、さらにはそのことをきっかけに経済的にも安定して行く・・・、といった効果を上げている。

3)エル・システマとして国内で活動するオーケストラやアンサンブルは400あり、幼児から30歳くらいまで約20万人のメンバーが様々なかたちで参加している。さらには刑務所や少年保護施設のなかにもオーケストラがあって、そこではじめて音楽を演奏する喜びに触れた人たちの更生に貢献している。

4)ベネズエラ全土に多数のこのような無償の音楽教室があり、さらにはそこから選抜された若者たちが青少年オーケストラへ(シモン・ボリバル・ユース・オーケストラはこの一つ)、さらには国立の交響楽団へとステップアップして行く。中には欧米の有名オーケストラへ入団を認められるものもいる、ということなども書かれていました。

アメリカでは、美術や写真の分野でNPOなどが中心になって同様の試みがなされているのを、以前「キッズ・サバイバルー生き残る子どもたちのアート・プロジェクト」(ニコラス・ベーリー編著/フィルムアート社刊)という本で読んだことがありますし、ポピュラー音楽の分野でもカルリーニョス・ブラウンというブラジルのミュージシャンが、自分が生まれ育った貧しい人たちが暮らすエリアの若者たちを音楽家として自立して行けるように訓練し、「チンバラーダ」というバーカッション・グループを作って活動している話を聞いたことがあります。しかし、ベネズエラのように国のレベルでここまで大々的な取り組みをしている例は今回始めて知りました。
「芸術は社会にとってなくてはならないものだ」とはよく言われますが、そのことをリアルに見せてくれる試みだと思います。

国内における社会制度としては良いものであったとしても、その制度から生まれたオケの音が世界に通用するかどうかはまた別の問題ですが、グスタボ・ドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラはその二者を兼ね備えた例として素晴らしいものだと思います。それはエル・システマが、上記のような教育的な効果とともに、世界に通用するオーケストラをつくるというビジョンを持って活動を始めた一つの成果でしょう。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラは世界中をツアーして各地で絶賛されているようだし、またドゥダメルのほうはすでに欧米の主要なオーケストラに客演したり音楽祭に招待されたりと高い評価を受け、20代後半ながらロサンジェルス・フィルの音楽監督に就任したとのことです。
クラシック音楽の世界では周縁的な地域の、決して経済的に恵まれた環境にあるとはいえないところから出てきた人々がこんなかっこいい音楽を生み出し、世界中の人々をびっくりさせているなんてとても痛快な話ではないですか。

いずれ機会があれば彼らの演奏を生で聴いてみたいです。(Y.O.)
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by matsuo-art | 2010-02-07 23:00 | 音楽  

大阪教育大学教養学科芸術専攻美術コース、卒業制作展

大阪教育大学教養学科芸術専攻美術コースの卒業制作展が明日まで開かれています。

日時:2010年2月2日(火)〜2月7日(日) <期間中は,無休>
   11:00〜19:00(最終日のみ17:00まで)
場所:海岸通りギャラリーCASO
   〒552-0022 大阪市港区海岸通二丁目7−23
入場:無料
作品:絵画,立体,映像,デザイン
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4回生のTさん、Hさんから手紙付きで案内状が届いていたのですが、この時期は受験指導に追われて、なかなか見に行く事が出来ません。ここにアップするのも遅れてしまいました。すみません。

この学年はたくさん大阪教育大学に合格した学年で、教養学科にあと2人、小学校教員養成過程に2人、計6名在籍しています。Tさん、Hさんは就職先も決まって新たな道に踏み出すと聞きました。あとのみんなも、どうしているかなあ。

ところでこの案内状、実物は金のインクも使って紙の質感もあり、なかなかおしゃれなのですが、今日、京都工芸繊維大学の学生さんが持って来てくれた(ここの卒業生ではないのにわざわざ来て下さいました)卒業制作展の案内状も、印刷もリッチにかっこよくデザインされていましたし、先日、京都市立芸術大学から送られて来た卒展の案内も、昔の京芸からは考えられない(!?)しっかりデザインされたものでした。国公立大もこういうところに力を入れるようになったということでしょうか。(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-02-06 20:38 | 展覧会  

兵庫県立美術館/横尾忠則、男鹿和男、鳥人

昨日の3日は、兵庫県立美術館に行きました。遅くに行ったので、観たいものが3つあるものの全部は無理だろうと思ったのですが、なんとか3つとも観ることができました。

1つ目は、横尾忠則氏の公開制作です。夕方4時までとなっていて、着いたのが3時45分、もう終わっているかな、とも思ったのですが、それどころか4時をすぎても横尾氏はもくもくと描き続け、約1時間、最前列の席で制作を観ることができました。これについてはまた後日に。

2つ目は、男鹿和男展。スタジオジブリなどのアニメ作品の背景画で人気のこの展覧会、会期終了間近で人だかりと聞いて心配しましたが、夕方遅くだったせいか、並ぶことなく入場できました(先週末は2時間待ち、今日の昼でも40分待ちだったそうです)。
それでも中は、人も作品も多く、時間がないのでじっくりは観られませんでしたが、職人的な背景画の実物を近くで観られたのはよかったです。たとえば深い森の緑でも、全体が暗くシックなトーンの中、確実に緑の色味を使い分けて描いている様子は、古典的な油彩を観るような思いです。小さな画面ですが、細かい中にも達者な筆さばきがあり、にじみを生かした背景がありと、印刷物では伝わりにくい息づかいを感じることができます。安定した段取りの絵作りと、確実な色の選択で、人の感情を喚起する質を作り上げています。

3つ目は、ギャラリー棟で催されていた神戸っ子アートフェスティバル。娘の作品も選ばれているというので行ったのですが、どんな作品を描いたのか、作ったのか、とくに聞いてなかったので、タイトルが「鳥人間」のその作品を見つけて笑ってしまいました。大きなリンゴの上に、鳥の頭をした人間が座っていて、昨年末のM1でバカ受けした「笑い飯」の漫才に出てきた”鳥人”のことだろうと思ったのです。後で聞いたらM1以前に作ったもので、”鳥人”とは関係ないとのことでした。(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-02-04 00:56 | 展覧会  

杉本博司「苔のむすまで time exposed」 

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現代美術家 杉本博司氏の「苔のむすまで time exposed」を図書館で借りて読みました。
これは2003〜04年に雑誌「和楽」に連載されていた文章を中心にまとめられた、杉本氏の1冊目の評論集です。2008年の「新潮」に12回にわたって連載したものをまとめた2冊目の評論集「現な像(うつつなぞう)」はすでに買って持っていますが、こちらはまだ全部読んでいません。というのも、内容があまりにも面白く、深いので、いっぺんに読んでしまうのはもったいない、と思うからです。

「現な像」は、昨年9月、やなぎみわ展(国立国際美術館)を観たおりに、展覧会の図録を買おうと寄ったミュージアムショップで見つけました。やなぎみわ展図録とほぼ同じ値段の「現な像」と、「苔のむすまで」と、どれを買うべきか、懐が寂しいので3つで迷った末に買ったのです。
「現な像」に決めた理由は、たいへん感銘を受けた昨年春の杉本博司展(国立国際美術館)の作品の中でもさらにピカイチだった”十一面観音立像”について最初のページで語られていること、そして最後のページに載っている”土星の月エンセラダス”の写真がとても美しかったことからです。

杉本博司展に展示された”十一面観音立像”は平安時代の木彫の仏像ですが、素朴かつ流麗なその姿に言葉もありませんでした。杉本氏によってブランクーシさながらのシンプルな形態の台座に乗せられたその像からは、近代造形的な視点、つまりフォーマリスティックな彫刻としての視点から観ても、ブランクーシに匹敵する美しさを備えていることが一目瞭然に伝わってきます。さらにそれが遠い昔から信仰の対象になっていたことを考えれば、ブランクーシ以上の価値であると言ってよいかもしれません。

古美術商を営んでいたことのある杉本氏は、個人的な経験やその芸術活動を、長くて広い人間の歴史へと関連させていく視点を持っています(”十一面観音立像”も古美術商時代に培った目で集めた珠玉の杉本コレクションの1つです)。その内容の奥深さは、読み手の思考をも思索の旅へと誘ってくれるのですが、一度に読んでしまうと、頭がいろんなところへ旅立とうとして困ります。

もともと一ヶ月おきに連載していた文章ですから、それくらいのスパンで読むのがよいのでしょう、「苔のむすまで」もそんな理由から、途中で読むのをやめようかと思ったのですが、図書館で借りたこともあって、ついつい最後まで読んでしまいました。
詰め込みすぎて、発酵するのに時間がかかりそうです。
(n.m.)
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by matsuo-art | 2010-02-01 01:20 |