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椿昇展 2004-2009 GOLD/WHITE/BLACK

椿昇展 2004-2009 GOLD/WHITE/BLACK(京都国立近代美術館)に行った。私たちの周りにある巨大な矛盾を、巨大なフェイクによって顕在化させた展覧会。
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会場で椿さんにお会いした時に「この展覧会を無視したい人も多いんではないですか?」と問うたのは、私の中にも見なかったことにしたい、という気持ちがあったから。しかし、無視できない逆説的なリアルワールドがこの国に住む私たちの周囲にもあるということを、巨大なフェイクが語ってくる。椿さんがおっしゃるとおり「これは踏み絵だ」と思いながら作品を観ていた。

憲法9条の矛盾、資本主義の矛盾、宗教の矛盾、
そうした矛盾を一身に背負い、表出された作品。

白い巨大兵器のバルーン(直径10m、長さ30mもある!)、架空ゲーム上のバーチャル鉱山労働者、CGを拡大模写したと思われる質感のない油絵、などの意図されたフェイク。けれどもバングラデシュの犠牲祭での牛の映像が、色彩加工で生々しさから遠ざけられているにもかかわらず想像の中で否応なく人間のイメージと重ねられていく時、矛盾を見ないで生きていきたいという気持ちは掻き乱される。

椿さんの作品は昔から妙にフェイクっぽい質感を備えていたけれども、椿さん自身が向き合っている世界はいつも厳しくリアルで、それは椿さんのテキストやご本人の語りの中から、強力かつ繊細に伝わってくる。

そうしたご本人から受ける質感と作品から受ける質感が必ずしも一致しないところが椿さんたるゆえんだと思うが、一方で、生身の椿さんに接することなく作品を観る人には、椿さんの過剰な多様性が伝わりきれずに、違う見え方になることもあるのでは?とも思った。

この展覧会をイスラエルに持って行きたい、と椿さんは言った。(n.m.)
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by matsuo-art | 2009-03-29 22:05 | 展覧会  

ノダマキコさん個展

ノダマキコさんの個展が、17日(火)より西宮・苦楽園口のgalerie6cにて開催されています。29日(日)まで。
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12月1日のこのブログでも紹介しましたが、ノダマキコさんは松尾美術研究室出身のイラストレーターです。

ノダさんのブログによると、最近のお仕事では、駅のコンビニ「NEWDAYS」のキャンペーンでオリジナルタンブラーのイラストを手がけたとのこと。パネストという駅で取り扱っているパンシリーズを買うと、オリジナルタンブラーが当たる!! というキャンペーンのタンブラーなのですが、これはJR東日本で展開されているキャンペーンのようで、こちら関西では取り扱っていないみたいです。残念。(n.m)
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by matsuo-art | 2009-03-19 22:40 | 展覧会  

「さて、大山崎」 山口 晃 展

アサヒビール大山崎山荘美術館の「山口晃展」へ行ってきました。
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「山口晃(1969年生まれ)は日本の古美術やマンガからインスピレーションを受け、大胆かつ緻密な描写により、過去と未来が交錯するかのような情景を描き出します。(チラシより)」

TV番組トップランナーで垣間見た山口氏の人柄が展示全体から伝わってくる展覧会。作品は絵画だけでなく、マンガ形式のすずしろ日記、壁のシミを具象絵画に見立てたインスタレーション(?)、チープな素材でできた移動式茶室の立体から電柱の考察まで、いろいろあって楽しめました。

絵画の素材も、キャンバスに油彩と水彩、とか、油彩と墨、とか、和紙に水彩で掛け軸っぽいけれどもシナベニヤに貼ってある、とか、素材、画材に頓着なく描いているのが面白い。山口氏は日本画のような絵を描いているが出身は東京芸大の油画で、これが日本画出身だとこうはいかなかったかもしれない。

というのも某国公立大の日本画へ進学した生徒が、金箔の代わりに金の絵の具だかマジックだかを使った作品を描いて教授に叱られた、とかつて話していたからだ。日本画や工芸のジャンルでは伝統的な素材から離れると認めてもらえない時もあって、柔軟な発想が湧きにくい。

もっとも日本画に限らず油画でも、近代以前の伝統的な画材とその技術を学ぶ機会は大学の中ではむしろ少なく、もっとそうした機会を基礎の段階で与えるべきだという思いは私の中にもある。ただその一方で、手近な素材を使って気軽に素早く表出することで出てくる内容というものがあるし、山口氏の作品はそうした成り立ちをして成功している。
ただし、そのお手軽な素材感で成立できているのは、確かな描画力とウィットに富んだ内容あってからこそだ。

ちなみに美術館発行の大山崎山荘通信に1年間連載していたというマンガの「すずしろ日記 OH!ヤマザキ版」は大山崎山荘美術館HPのウェブ上でも読めます。ほのぼのと楽しいので読んでみてください。Vol.7号では、この山荘美術館がサントリー主催であると100%間違えられるとか(本当はアサヒビール。でも大山崎と言えばサントリーと誰でも思ってしまいますね、確かに)、さらにサントリーとのタイアップ企画をブルータス紙上でやってしまった(立ち読みしました)くだりとか、かなり笑えます。これを載せたアサヒビールも太っ腹ですね。(n.m.)
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by matsuo-art | 2009-03-07 05:01 | 展覧会