谷川俊太郎 合田里美 絵本「ぼく」
詩人の谷川俊太郎さんとイラストレーターの合田里美さんが今年新たに出した絵本「ぼく」。この絵本ができるまでの過程を撮ったドキュメンタリーが2月12日にNHKのETV特集で放送されました。
絵本のテーマは「子供の自死」。表現することが難しいこのテーマをもとに、90歳になった詩人と若いイラストレーターは、コロナ禍の中で2年間リモートで絵本作りを行いました。番組ではそのやりとりを丁寧に追っています。
「 ぼくは しんだ じぶんで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本」
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/7J3N7LZXVV/
詩人が書いた言葉にイラストレーターが答える。それに詩人から修正のリクエストが入る。さらにイラストレーターが描いた絵に詩人の感性が反応し、表現のかたちが定まったり、移動したりしていく。絵は何度も描き直される。詩人の言葉も変わっていく。
合田里美さんは当研究室の卒業生です。関東の美術専門学校に進学してからこの絵本を作るにいたるまで、途中絵の道から離れる時期があったものの、イラストレーターとして独り立ちしたことも番組では紹介されていました。
この番組は2人の創作者のやりとりをわかりやすい工夫をして視聴者に伝え、編集者も含めた創作の現場を追体験させてくれる、とても良質なドキュメンタリーです。
私はこの絵本を手にした時、大切なものに触れる時の心の震えを感じながらページをめくりました。(n.m.)
by matsuo-art | 2022-03-21 12:26 | 美術