草木染めー彼岸花
1週間前になりますが、雨続きの天候の合間を縫って、大阪・能勢に在住の染織家の山本有子さんの工房を訪れました。山本さんは自ら育てた藍を使った藍染めの作品を中心に活動しておられます。
今回の訪問の目的は、藍の生葉が穫れる時期にしかできない藍の煮染と、季節の草木染めを教えて頂くことでした。
この日はお彼岸が終わり彼岸花が満開で、彼岸花染めを体験させていただきました。
今年は彼岸花が少し遅いそうです。
シルクと綿を格子状に織った薄いストールを染めることにしました。
彼岸花の茎から花まで全体を10センチほどの長さにパキパキと折った物に水を加えて鍋で煮だし、ザルでこして染め液を作ります。
あらかじめお湯に浸し糊を落としたストールを染め液のたっぷり入った鍋で煮ます。
下の写真は染め液に浸けたtころです。
その後水洗いし、媒染液(今回は酢酸アルミ)に浸し、水洗いの後、もう一度液につけて煮出しました。
上の写真は媒染後、もう一度煮出しているところで、かなり色が濃くなっています。
染め上がったものがこちら。
深めの緑色です。
色の薄い部分が綿、鯉部分がシルクです。シルクの方がより色が濃く染まります。
わたしが訪れる何日か前にヒガンバナで染めたものを見せて頂きました。同じストールを使用していましたが、もう少し黄緑がかった色合いでした。
その時はヒガンバナの咲き初めの頃だったそうで、真っ赤に咲いた満開の時期の方が色が強く出るのかしら、とのことでした。
時期や状況で色が異なる、コントロールしきれない自然に添った面白さが、とても豊かだと感じました。
同じ日に藍の生馬の発酵煮染め、ハンノキの染めもしました。
藍の煮染めはシルク素材で藤色に、ハンノキは綿を染めてグレー寄りの茶色になりました。
畑では藍が育ち、花を付けています。
この後、藍は刈り取られ、葉を選別し、乾燥、発酵、と大変な作業を経、「すくも」という藍染めの原料になります。
美しいジャパンブルーの鮮やかな色はこの草から生まれます。
(yo.m)
by matsuo-art | 2016-10-07 23:55 | 工芸