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「舟越 桂 私の中のスフィンクス」展 兵庫県立美術館

兵庫県立美術館で開催中の、舟越桂展に行ってきました。
学生の時、多摩美術大学にて開催されたグループ展に友人が参加し、その手伝いに行ったことがありますが、
舟越さんもその展覧会に出品されていました。
1985年のことです。
その頃からすでに注目されていた舟越さんの具象彫刻は、現代美術の新しい様相を提示した感がありました。
「舟越 桂 私の中のスフィンクス」展 兵庫県立美術館_f0189227_1274852.jpg

今回の展覧会では広い空間にその作品1点のみが展示されている部屋が2つあります。
照明も含めたその展示の仕方と作品の求心力によって、非常に魅力的な空間が立ち現れています。
特に最初の部屋では、そこに入った瞬間にしてはっと立ち止まってしまうような軽い衝撃を受け、
この展覧会全体の質の高さというものを感受してしまうような空間になっていたと思います。

スフィンクスシリーズの力のこもった大きな作品や、
二つの頭部を持った作品、
あるいは作家のフェティッシュを感じる角の作り込みなどに引き付けられながらも、
いつも行う「この中で1つ買うとしたらどの作品か?」という問いかけを自分にしたら、
初期の作品群の中の静かなたたずまいの1点になりました。

家に戻って買ったばかりの図版を開けるとその作品が
最初の方のページに複数の写真で紹介されているので、
なるほどこの作品は特別なのだと得心しましたが、
この控えめな作品が醸し出す、言語化し難い、あるいは言語化しなくてもよいような、
美術作品の存在価値というものに改めて感じ入った次第です。

ところで、この展覧会のチラシなど広告物のデザインは、
研究室の年間パンフをデザインしてくれているツムラグラフィークさんによるものです。
そうとは知らずにO先生が以前授業の中で分析していたように、
このチラシは文字や図像をフォーマルに構成しながら、
静謐な展覧会の内容を伝える美しいデザインになっていると思います。(n.m.)

by matsuo-art | 2015-08-18 12:05  

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