ヨコハマトリエンナーレ2014

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ヨコハマトリエンナーレ2014に行ってきました。メイン会場の横浜美術館と新港ピアのほか、周辺の文化施設なども取り込んだ大掛かりなフェスティバルです。私は滞在時間の制約の為、メイン会場のみの観覧でした。

今回のヨコハマトリエンナーレについてはREALKYOTOというウエブサイトで京都造形芸術大学大学院学術研究センターの浅田彰所長が詳細なレポートをアップしており、この展覧会や出品作に対する理解を助けてくれます。また芸術新潮誌でもアーティスティック・ディレクターの森村泰昌氏自身が登場して本展の制作過程を紹介していました。展覧会の全体像についてはそちらの記事にお任せして、ここでは私が撮影した「いいな」と思える作品のディテールを中心にご紹介します。(会場では撮影可の作品と撮影不可の作品が細かく指定されていて、アップしてあるのは撮影可のもののみです。)

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まず、横浜美術館のある広場の前に来ると本展出品グループの一つである「釜ヶ崎芸術大学」の「炊き出しカフェ」のテントがお出迎えしてくれました。この日は昼にこの場所で炊き出しの提供がありましたが、私は時間の関係で味わうことが出来ず残念。

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その「釜ヶ崎芸術大学」のコーナーより。大阪・西成のあいりん地区で美術、詩、音楽、演劇など様々な芸術活動を展開しているグループです。このコーナーではその活動の一端を紹介しています。

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釜ヶ崎芸術大学のコーナーにあった通天閣の模型(素材はスーパー玉出の広告をこより状に丸めたもの)。通天閣の向こうに見えるのは、巨大なアートのゴミ箱「アート・ビン」(マイケル・ランディ)。

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本展のハイライトの一つといっていい「Temporary Foundation」のコーナーより。法廷がDJブースに?
この作品は林剛+中塚裕子が1983年から1985年に「京都アンデパンダン展」で発表した「Court」シリーズを再構成したもの、その一部。

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法廷の反対側はテニスコートになっている。この作品に関しては以前このブログ(「犬と歩行視 Part-2」展)でも紹介したことがあります。

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坂上チユキ氏の作品。あまり大きくない画面に極小のタッチでびっしりと描き込まれた、何かスピリチュアルなものを感じさせる抽象絵画にじっくりと見とれました。

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横浜美術館前に堂々と置かれたヴィム・デルボアの巨大なトラックの一部。コールテン鋼をレーザーカッティングしたものを構成してつくってあるのですが、繊細なディテールの為に重々しさをあまり感じさせません。

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新港ピア会場に移動。これは大竹伸朗氏の作品の一部。今回の作品は、昨年、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で観た個展での作品(これも以前このブログで紹介しました)を凝縮したような感じ。前回の作品は大竹氏の作品のトレードマークとも言えるスクラップブックが象徴的に小屋の中に内蔵されていましたが、今回の作品では、そのスクラップブックがそのまま巨大になり、その中に部屋を内蔵して、さらに移動可能な姿で出現した!という、私としては最も惹き付けられる作品でした。

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スクラップブックのページの下部から漏れ出す青い光が美しい、と思いました。

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そして最後は、やなぎみわ氏の巨大な移動演劇舞台です。コンテナの屋根部分が開いて上方に立ち上がるので、圧巻です。この移動舞台で中上健次の小説「日輪の翼」を舞台化したものを上演してまわるプロジェクトのようです。

他に強く印象に残ったものとしては、太平洋戦争の中で書かれた北原白秋、中勘助、高村光太郎、瀧口修造らの詩をおさめた本のコレクションを展示したコーナです。それらは戦争賛美的な内容のものや国家主義的な内容のものであり、戦後は絶版になるなどして「忘却された」ものです。(このコーナーでは、その隣に「時流に迎合しなかった画家」としての松本竣介の手紙が対比的に並べられています。)レイ・ブラッドベリの「華氏451度」のペーパーバックが大量に積み上げられたものが展示されてもいるこのセクションが、今回のトリエンナーレで森村氏が掲げたテーマ、「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」を最も図式的に現していたと思います。

時間があれば、たくさん展示されていた映像作品(とりわけ足立正生の脚本「記憶を超えて」をもとにした「The Ugly One」)をゆっくり観たかったですし、配置されたテキストを参照しながらコンセプチュアルな内容の作品群をゆっくり読み解きたかったですが、総じて、このような大きな展覧会が陥りがちな総花的なものになっておらず、内容の濃い展覧会のように感じました。(Y.O.)
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by matsuo-art | 2014-09-22 11:30 | 展覧会  

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