是枝裕和監督「そして父になる」 第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞

ちょうど1週間前の5月27日(月)未明に、是枝裕和監督作品「そして父になる」が、第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞しました。この映画は、先日亡くなられた俳優の夏八木勲さんの最後の映画でもあります。

夏八木さんも出演していたテレビドラマ「ゴーイング マイ ホーム」で見せていた映像表現の質の高さと、9年前にカンヌで主演男優賞を獲った「誰も知らない」に通じる社会性、普遍性のある内容と、両方を併せ持った作品であろうと思っていたので、パルム・ドールでなくても何かの賞は獲るのではないかと期待していました。受賞して本当に良かったと思います。
審査委員長のスティーブン・スピルバーグ氏も「『そして父になる』は映画祭の期間中、なにかしらの賞から外そうと思ったことは無かった」と是枝監督に語ったそうです。

受賞式の様子をTVの生中継で見ていて気づいたことは、カンヌの賞の種類は思いのほか少ないのだな、ということです。映画の授賞式でまず思い浮かべるのはアメリカのアカデミー賞ですが、アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、主演女優賞の他に、監督賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、編集賞、作曲賞、録音賞、衣装デザイン賞、などなど、裏方に対する賞を含めてたくさんあります。助演男優賞、助演女優賞もあります。

それに対し、カンヌのコンペティション部門は、最高賞のパルム・ドールの他には、グランプリ、監督賞、脚本賞、女優賞、男優賞、審査員賞、があるだけです。調べてみると、ヴェネツィア国際映画祭も同じような感じですね。

そもそもアカデミー賞は「映画祭」とは言わない、ということを今回初めて知りました。「映画祭」は基本的に”新作”を上映して賞を与えるものだそうです(国内だけでの上映済みはOK)。アカデミー賞は、その年に上映された映画の中からノミネート作品を選んで賞を与えるので、発想が逆になりますね。アカデミー賞のイメージを映画祭に当てはめること自体が違う、ということです。

映画祭での賞の少なさを考えると、今回の審査員賞受賞もそうですが、2004年にカンヌという国際舞台で「誰も知らない」主演の柳楽優弥氏が男優賞を獲得したのは、最年少受賞ということも含めて本当に画期的だったのだなあ、と改めて思います。

「そして父になる」の撮影監督は広告などをよく手がけている写真家の瀧本幹也さんです。瀧本さんは、写真集「SIGHTSEEING」でユーモラスかつフォーマルなスナップ写真を撮っていて私も好きですが、撮影監督をされていると知ってびっくりしました。映画のような動画の仕事もいままでにされていたのでしょうか?「ゴーイング マイ ホーム」も瀧本氏だったのかなあと思って調べてみましたが、これは違うようです。

「そして父になる」の国内上映は10月5日から。まだまだ先になりますが、待ち遠しい限りです。(n.m.)

by matsuo-art | 2013-06-03 22:54 | 映画  

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