ドラマ「Q10(キュート)」

日本テレビのドラマ「Q10(キュート)」がいい。しかし、次の土曜日がもう最終回(11日夜9時)となる。

「Q10」とは主人公の男子高校生、深井平太の前に突然現れた、奇妙だがどこかかわいい女の子のロボットのこと。これはその周辺の高校生たちが織りなす群像ドラマである。主役の佐藤健、前田敦子ももちろんよいのだが、脇を固めるクラスメイトたちの”顔”がいい。顔がいい役者さんたちが選ばれていると言っていいだろう。

例えば授業料が払えない貧乏な同級生、藤丘を演じるのは、特徴のある顔とぼくとつな演技で印象的な役者さん。実は俳優の柄本明氏の息子さんだそうで、第8話ではまさしくその実父、柄本明が父親役として登場したのも面白かった。

毎回印象に残るセリフやシーンがある。最初に観て思ったのは、これは小説のようなドラマだ、ということだ。小説というメディアがよく描くような”切なさ”がこのドラマの基調に流れている。あり得ない設定であるにもかかわらず共感できる内容になっているのは、感情の流れにリアリティを感じるからだ。テーマは、人を想う気持ち、好きになるということ、失う事への不安、はかなさ、死ぬこと、生きること。

平太には長期入院している友人、久保がいる(彼の顔もとてもよいし、同じ病院で亡くなってしまう橋造りにたずさわっていた患者さんの顔も印象的)。実は平太も以前に重い心臓病を患っていて、今も不安をかかえている。私自身も中学時代に長期入院した経験があるので、こうした環境から出てくるものの見方、感情というものはよくわかる。小説的な切なさを感じるのは、そうした平太のモノローグによる語りが挿入されることと、メランコリックな音楽によるところもあるだろう(反対に主題歌は直裁で元気だ)。

第7話では同級生の影山が撮ったビデオの最後に出てくる恋人河合の、リアルに”はにかむ”笑顔が印象的だった。その輝きを見て、ゴダールの「パッション」に出てくる、劇中ビデオでスロー再生されるハンナ・シグラの顔を思い出した。
映画「ブレード・ランナー」を連想させるところもある。80年代に作られたこの作品も今やSF映画の古典となったが、ここでもレプリカントと呼ばれるアンドロイドを通して、逆に人間の”生”について問いかける内容となっていた。

でも一番魅力的なのは、そうした「深い(深井)」事柄が人生にある事を知りつつ日常は「平坦(平太)」に軽く生きる、爆笑問題の田中演じる小川先生や、薬師丸ひろ子演じる突き抜けた性格の柳教授、そして「パフッ」と言うQ10の、とんちんかんなユーモアなのだと思う。(n.m.)

by matsuo-art | 2010-12-05 23:09 | TV  

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