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京都国立博物館「長谷川等伯展」

京都国立博物館「長谷川等伯展」に行ってきました。

私もO先生のように展覧会が始まってすぐに行くつもりだったのですが、実物を見たいと前々から思っていた「枯木猿猴図(こぼくえんこうず)」の展示が展覧会後期だと言うことを知り、この日になったのです。それでも最初は後期展示初日の4月27日(火)に行く予定で仕事を休ませてもらったのですが、京博ホームページを見ると、その日は雨で寒い天候だというのに昼12時の段階で入場2時間待ち。「只今の混雑状況」とにらめっこしながら2時を過ぎても待ち時間が減らないのを見て、行くのを諦めました。どうせ外で待たされるのなら天気の良い日にしようと思ったのです。
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そして当初は絶対に避けようと思っていたGW中のこの日の拝観となったのですが、出発前の昼過ぎにホームページを見るとあまり混んでない様子。期待しながら京都まで行って、京阪七条駅を降りてすぐの交差点では、係のお兄さんが「只今10分待ち」のパネルを掲げています。京博入り口に夕方4時に着くと、なんと、まったく待たずに入場できました。ラッキー!
GW中は混雑必至と予想して皆が避けたのか、他の行楽地へ行っているのか。直前の28日でも3時間近く待ち状態になっていたのが、29日(祝)は逆に少なくなっていました。GW残りの3日間も案外空いているのかもしれません。

とは言っても入場したらやはり中は混んでいるわけで、残念ながら気持ちよく鑑賞できる空間ではありません。人混みで大きな作品は全体を一度に視野におさめるのは難しいし、館内の照明の暗さに慣れるのにも時間がかかりました。
まずお目当ての作品から鑑賞しようと考え、まっすぐ「枯木猿猴図」のもとへ。第一印象は「図版で見ていたのと同じ!」という、あまり感動的ではないものでした。しかし、思いっきり勢いよく描いた枯木の枝の、その配置と角度はやはり見事です。右幅の中央から左下に伸びる枝の、妙に生々しい線の逸脱感を実際に確かめることができました。全体として荒々しい枯木と丁寧な描写の猿が調和しているのも不思議です。
私は右幅に興味があったので最初はずっと右幅を観察していたのですが、左幅も実物を観察していると、上部右の太い線の幹や、猿の足や手、枝との接点の様子など、随所に見所を感じて、右幅と同じように好きになりました。
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そして「松林図屏風」。松林図を見るのは今回で2度目ですが、前回見た記憶と違っていたのは、まずその大きさ。大きい、と思いました。記憶の中の松は一回り小さく、大きく感じたのは意外でした。そして近くで見たときの表現の激しさについてですが、これは思っていたよりもおとなしいものに映りました。最初に見た時に印象的だった部分が頭の中で大きくなっていたのでしょうね、記憶では墨の濃いところは物理的に墨がもっとのっていて、筆跡も、もっと激しいもの、になっていたようです。

とは言えこの名品に再度魅了されたのは言うまでもありません。一番墨が濃くのっているところと白いところ、その間の薄墨と、階調の絶妙さを味わってきました。今回は特に一番左の薄い松に感心して眺めていました。

信春時代の金碧画「花鳥図屏風」を見られたのも収穫でした。枝振りで空間のリズムをつくる作風をすでに見ることができます。その他「竹虎図屏風」の虎や「檜原図屏風」の檜の表現、端整に描いている人物の顔、緻密な初期仏画、没する1年半前(70歳頃)で描いた巨大な絵馬、など興味を持って観ました。

こちらは会場を出て京博敷地内で撮った水墨画のような松(?)です。
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全体として等伯の多様さと画力を堪能できた展覧会でした。前期のみ展示だった「松に鴉・柳に白鷺図屏風」など、今回見られなかった晩年の水墨画も見たかったなあと、しっかりまとめてあってお買い得の図録を見ながら思いました。(n.m.)

by matsuo-art | 2010-05-02 22:53 | 展覧会  

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