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京都・智積院 田渕俊夫襖絵「四季墨絵」

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今日は京都東山七条にある智積院というお寺に、日本画家の田渕俊夫さんの襖絵を観に行ってきました。

智積院は真言宗のかなり大きなお寺ですが、長谷川等伯の「楓図」とその息子久蔵の「桜図」などの障壁画、そして利休好みの名勝庭園で良く知られています。
このお寺の講堂に田渕俊夫さんが襖絵を描かれ、公開中とのこと。偶然見かけたチラシでそのことを知り、ぜひ観たいと思って行ってきました。

実は智積院は私の家から近く、門前はしょっちゅう通っているのですが、中に入るのは15年ぶりくらいでしょうか。
田渕さんの襖絵を見る前に、とりあえず等伯の楓図を久しぶりに観てみようと宝物館に行きます。秋の行楽シーズンで休日の京都ですから相当の混雑を予想していましたが、今日は観光客もまばらで、おかげで非常にゆっくりじっくりと絵を観ることが出来ました。

その後、襖絵のある講堂の方にむかおうと、回廊に沿って名勝庭園を回って行きます。その庭に面した建物の中の、もともと等伯らの障壁画があったらしきところには現在復元模写が入っています。オリジナルのかなり剥落が進みややくすんだ画面に対して、確かに描かれた当時の絵はこんな風に生々しい色彩だっただろうと思われます。
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田渕さんの襖絵は、講堂のご本尊を取り囲む5つの部屋の襖、全60面に及ぶもので、四季がテーマです。
冬の部屋から観はじめたのですが、部屋に入るや否や針葉樹林の白い世界が、和紙の乳白色に点描による墨の階調によって美しく表現されていて思わず背筋が伸びます。
春の間(胎蔵の間)は「柳」と「桜」、夏の間(金剛の間)は「けやき」と「めだけ」、秋の間は「すすき」と「柿」、そしてご本尊のある空間(不二の間)の両壁面に「夜明け」と「夕暮れ」の風景。
全部良かったんですが、中でも「柳」と「けやき」、そして「柿」の絵が強く印象に残りました。

じっと画面を見つめていると、墨によるトーンの豊かさ、光とその空間表現の美しさはもちろんなのですが、それぞれの対象を熟知した上で緻密に、あるいは奔放に画面を作っていく感じが伝わって来ます。対象が克明に写実表現されているというよりは、むしろ、対象の持つ普遍的な相が抽象化された諸要素の積み重なりによって立ち上がってくる、と言うべきでしょうか。
現代の画家による素晴らしい境地を目の当たりにし、私も思わず飛んで帰って絵を描きたくなりました。

この襖絵の公開はとりあえず今日までだったのですが、近いうちに機会はまたあるでしょうから、いつか是非観てみてください。(Y.O.)

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by matsuo-art | 2009-10-25 20:36 | 展覧会  

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