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やなぎみわ婆々娘々展

21日に、国立国際美術館の「やなぎみわ婆々娘々展」と「ルーヴル美術館展」へ行ってきました。
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やなぎみわ展では、3つのシリーズが展示してありましが、見る人それぞれに好きなシリーズ、印象に残るシリーズが違うのではないかと思います。私が印象深かったのは、「フェアリー・テール・シリーズ」でした。

これはグリムやアンゼルセンなど世界の寓話、説話などから発想したシーンを子供たちに演じさせて白黒写真に撮り、ライトボックスによって暗い部屋に展示したものです。恐怖映画のようでもある不気味で残酷なシーンに眼が釘付けになりますが、老婆の仮面をかぶるなど演劇的な演出であるにもかかわらず(あるいはそれゆえに)奇妙にリアルなのは、元となった寓話自体が持つ残酷さに、何か得体の知れない吸引力が秘められているからでもあります。小説家の坂口安吾はそれを「文学のふるさと」と名付けましたが、そうした残酷だがどこかなつかしくもあるふるさとを、ここでは周到な演出で濃縮し、怪奇的にあぶり出しています。

今年のヴェネチアビエンナーレ日本館にも展示されている「ウィンドスェプト・ウィメン・シリーズ」は、4m×3mの黒い巨大な写真立てが起立するという迫力のある展示なのですが、布にインクジェットプリントで出力されている画像の表面には深みがなく、残念ながらヴェネチアのレプリカというような印象になってしまっていました。ヴェネチアでは出力方法も違ってもっと深みのあるトーンに仕上がっているようですから、迫力や存在感も違うと思います。
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「マイ ・グランドマザーズ・シリーズ」は、”50年後の自らの理想の老婆像”を映像化するという発想のユニークさと表現力はさすがに高いと思いましたが、私が男性であるせいか、その祖母像に感覚的に感応するという感じはあまりないのです。ただ、今回初めてシリーズ全作が並ぶという中で、2009年の新作も3点あること、大きさが大きいのから小さいのまでそれぞれであること、そしてそれらの額が、プリントとぴったり同じサイズの透明なアクリル板(おそらく)が張り付いているだけという、きわめてシンプルで美しい額(どのようにして張り付いているのあろう、接着してあるのか?)であることが興味深かったところです。(n.m.)

by matsuo-art | 2009-09-22 18:03 | 展覧会  

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