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「さて、大山崎」 山口 晃 展

アサヒビール大山崎山荘美術館の「山口晃展」へ行ってきました。
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「山口晃(1969年生まれ)は日本の古美術やマンガからインスピレーションを受け、大胆かつ緻密な描写により、過去と未来が交錯するかのような情景を描き出します。(チラシより)」

TV番組トップランナーで垣間見た山口氏の人柄が展示全体から伝わってくる展覧会。作品は絵画だけでなく、マンガ形式のすずしろ日記、壁のシミを具象絵画に見立てたインスタレーション(?)、チープな素材でできた移動式茶室の立体から電柱の考察まで、いろいろあって楽しめました。

絵画の素材も、キャンバスに油彩と水彩、とか、油彩と墨、とか、和紙に水彩で掛け軸っぽいけれどもシナベニヤに貼ってある、とか、素材、画材に頓着なく描いているのが面白い。山口氏は日本画のような絵を描いているが出身は東京芸大の油画で、これが日本画出身だとこうはいかなかったかもしれない。

というのも某国公立大の日本画へ進学した生徒が、金箔の代わりに金の絵の具だかマジックだかを使った作品を描いて教授に叱られた、とかつて話していたからだ。日本画や工芸のジャンルでは伝統的な素材から離れると認めてもらえない時もあって、柔軟な発想が湧きにくい。

もっとも日本画に限らず油画でも、近代以前の伝統的な画材とその技術を学ぶ機会は大学の中ではむしろ少なく、もっとそうした機会を基礎の段階で与えるべきだという思いは私の中にもある。ただその一方で、手近な素材を使って気軽に素早く表出することで出てくる内容というものがあるし、山口氏の作品はそうした成り立ちをして成功している。
ただし、そのお手軽な素材感で成立できているのは、確かな描画力とウィットに富んだ内容あってからこそだ。

ちなみに美術館発行の大山崎山荘通信に1年間連載していたというマンガの「すずしろ日記 OH!ヤマザキ版」は大山崎山荘美術館HPのウェブ上でも読めます。ほのぼのと楽しいので読んでみてください。Vol.7号では、この山荘美術館がサントリー主催であると100%間違えられるとか(本当はアサヒビール。でも大山崎と言えばサントリーと誰でも思ってしまいますね、確かに)、さらにサントリーとのタイアップ企画をブルータス紙上でやってしまった(立ち読みしました)くだりとか、かなり笑えます。これを載せたアサヒビールも太っ腹ですね。(n.m.)

by matsuo-art | 2009-03-07 05:01 | 展覧会  

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