
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
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by matsuo-art
| 2023-01-01 00:12
| その他
濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」が94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞しました。すでに多くの賞を受賞し海外でも認められていた作品ですが、アカデミー賞にノミネートされて受賞するということは、また格別な感じがあります。

YouTubeでは監督のインタビューや出演者たちの舞台挨拶など、たくさんの動画を見ることができます。私もこの映画を見てからその成り立ちに興味を持って、いろいろと動画を見ていました。今はそのようにして作品に関わる人たちの生の言葉にたくさん接することができる、よいご時世です。中でも、”神戸スタディーズ #8「まちで映画が生まれる時」”は、濱口監督と神戸との繋がりを知る上で大変興味深いアーカイブでした。
濱口監督は、デザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト)のアーティスト・イン・レジデンスで神戸に長期滞在し、2015年に映画「ハッピーアワー」を撮っています。その経緯や、監督と神戸の人々との繋がり、交流について詳しく語られていて、この国際的な監督のメソッドが、神戸の地でも大きく形作られていたことがわかります。
「ドライブ・マイ・カー」では、西島秀俊さん演じる舞台演出家が俳優たちにセリフを練習させるときに、あえて感情を込めない形で何度も本読みをさせます。そうした方法は一般的なのかと思いましたがそうではなく、この特殊な練習方法は、まさしく濱口監督が「ドライブ・マイ・カー」を作るにあたって西島さんはじめ俳優さんたちに行った方法だということ。このように、この作品では現実の演技と映画の中の演技、さらに劇中の演劇が交錯する感覚があります。もともと村上春樹の小説が原作であることもあって、小説、映画、演劇というジャンルの交錯が起こります。映画の現実に浸っていると、ふとセリフが、何か小説のような、演劇のようなセリフへと飛躍する。それもこの映画の魅力だと思います。
ちなみに「ハッピーアワー」は5時間17分というとても長い上映時間の作品です。私はたまたま点けたテレビのBSで上映していたそのシーンに見とれましたが(移動する大きな船の甲板に女性が立っているシーンだったと記憶する)、その後を最後まで見続けることはできませんでした。機会があれば今度は全編見てみたいと思います。(n.m.)
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by matsuo-art
| 2022-03-29 10:59
| 映画
詩人の谷川俊太郎さんとイラストレーターの合田里美さんが今年新たに出した絵本「ぼく」。この絵本ができるまでの過程を撮ったドキュメンタリーが2月12日にNHKのETV特集で放送されました。
絵本のテーマは「子供の自死」。表現することが難しいこのテーマをもとに、90歳になった詩人と若いイラストレーターは、コロナ禍の中で2年間リモートで絵本作りを行いました。番組ではそのやりとりを丁寧に追っています。
「 ぼくは しんだ じぶんで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本」
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/7J3N7LZXVV/

詩人が書いた言葉にイラストレーターが答える。それに詩人から修正のリクエストが入る。さらにイラストレーターが描いた絵に詩人の感性が反応し、表現のかたちが定まったり、移動したりしていく。絵は何度も描き直される。詩人の言葉も変わっていく。
合田里美さんは当研究室の卒業生です。関東の美術専門学校に進学してからこの絵本を作るにいたるまで、途中絵の道から離れる時期があったものの、イラストレーターとして独り立ちしたことも番組では紹介されていました。
この番組は2人の創作者のやりとりをわかりやすい工夫をして視聴者に伝え、編集者も含めた創作の現場を追体験させてくれる、とても良質なドキュメンタリーです。
私はこの絵本を手にした時、大切なものに触れる時の心の震えを感じながらページをめくりました。(n.m.)
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by matsuo-art
| 2022-03-21 12:26
| 美術
京都のギャラリー、アートステージ567にて作品展示をしています。

寿山福海がテーマです。おめでたいことが山のように高く、幸福が海のよう深いイメージですが、中国の故事に大海原の真ん中に長寿の国があったというところからきている言葉です。
展示では福を招いたり、厄除けの意味がある題材をたくさん描きました。
昨年も同時期に作品展示をしました。毎年、友人が立ち上げた東日本大地震の被災地を祈念する企画で、特に東北地方の沿岸部の民俗芸能を支援しており、その企画の一環として作品展をしています。
平和で安心できる日々を送れることを祈り、このテーマを選びました。

よく目にする題材や、今ではあまり見られなくなったものなど、たくさんのものを描いています。それぞれの絵の説明や言われも掲示しています。長く受け継がれてきたそれらの題材からは、人生への希望が感じられます。

ギャラリーは元米問屋の古い町家です。わたしたちの地元の神戸にはない、土壁のしっとりとした佇まいの空間です。
展示は3月21日までと残りわずかですが、作品と共なってできる風情を味わっていただけたら嬉しく思います。
アートステージ567
京都市中京区夷川通烏丸西入ル巴町92
tel 075-256-3759
20日、21日午後6時から、篠笛と水墨画のLLiveパフォーマンスがあります
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by matsuo-art
| 2022-03-18 18:59
15日(土)から共通テスト試験が始まります。コロナ禍での実施で急な変更事項等があるかもしれませんが、落ち着いて自分のやれることに集中していきましょう。
現場で実力を発揮するには ”適度な緊張” が必要です。多少の緊張はあったほうがよいのですが、緊張しすぎるとうまく力が発揮できません。以下は、かつてNHK教育テレビで放送されていた「テストの花道」の内容がテスト前と当日のアドバイスです。
●共通テスト1週間前の心得として先輩受験生の体験談や失敗談から導かれた格言は、「実力を発揮するなら普通どおり」。新しい事はやらないほうがいい、ということです。
●たとえば苦手科目を最後に集中的にやりすぎて肝心の得意科目の勘が鈍ったという失敗例。合格した先輩たちは、基礎をまんべんなく見直すことを勧めています。実践をしながら、まちがったところの基礎を見直すのがよいようです。
●親にも変わった事はしてほしくない、と言っていましたが、試験前にトンカツなどの食べ慣れない揚げ物を食べ過ぎて胃もたれになった、親の出すハーブティーを断れずに飲み過ぎて体調不良、など食事に関する失敗例は、どれも良かれと思い普段と違うことをしたから。不安を感じる新たなことには断る勇気も受験生には必要です。
●テストには時間配分がとても大事なので時計は必需品です。これについては当研究室テキストの「入試前の心得」にも書いています。実は研究室の受験生で実技テストで時計を忘れていって時間が分からなかったという失敗をした人がいましたが、わからない分、デッサンを早め早めに進めて、今までで1番充実したデッサンに仕上がった!という怪我の功名の人もいます。でもそれは例外なので、時計は必ず持っていきましょう(現場でスマホは使えません)。
また、普段から持参する時計に慣れておきましょう。その時計を使って時間を測りながら想定問題集を解く練習を事前にしておくと、本番での時間配分を実感しておくことができます。
●本番で注意することとしては、マークミスが一番に上がっていました。途中でマークがずれている事に気づいたら焦ってしまいます。絶対に避けましょう。
対策としては大問1問ごとにチェックする、ということ。また、わからない問題にも、とりあえずどれかマークしておいて後で見直すという印をつけて先に進む、そうして空白の問題を作らない事でマークのズレを防ぐ、というアドバイスもありました。
あと、トイレの場所を確認しておくことも大切、ということでした。
●受験当日の用意として、以下の5つを挙げていました。
1、会場までの道のりを調べておく。
2、試験会場で勉強する専用ノートを作っておく。
3、軽食を持参。
4、体温調節できる服。
5、下痢止め。
●試験現場で緊張しないための対策もいくつか紹介されていましたが、なかでも「筋弛緩法」は、効果がありそうです。
体に力を入れて筋肉を収縮させてから一気に力を抜いて筋肉の緊張をゆるめるという方法ですが、紹介されたやり方は、それを目、口、肩で行うというものです。試験会場の現場で行うのにちょうど良くて使えるのではないでしょうか。本番で緊張しそうな人は今から家で勉強する前にやって慣れておいて、現場の会場に座ってからもやってみてください。(実際やってみると、緊張すると出にくくなるという唾液が分泌されるのが実感できます。)
これらを参考にして、受験生はこの時期、そして共通テスト本番を乗り切っていきましょう。
松尾美術研究室
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by matsuo-art
| 2022-01-02 14:23
| その他