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謹賀新年 2024 宗達と友松の「雲龍図」

HAPPY NEW YEAR 2024

新年明けましておめでとうございます。

松尾美術研究室

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これは「風神雷神図」で有名な俵屋宗達が描いた「雲龍図屏風」です。ただし、スミソニアン協会フリーア美術館に所蔵されている実物は門外不出で、実際に鑑賞するためにはアメリカの同美術館まで行かなければなりません。


この画像は、昨年秋に京都の建仁寺に展示されていた高精細複製画の様子です。京都文化協会とキヤノンが取り組む「綴プロジェクト」によって制作されました。

高精細とはいえ複製ですから、実物が持つ質感や肌合いから立ち上がるであろうオーラまでは感じることができなかったものの、憧れの作品のサイズ感などを初めて体感することができました。辰年の今年最初にアップさせていただきます。


そして建仁寺には、海北友松が描いた「雲龍図襖絵」もあります。

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こちらも作品保護のためでしょう、展示されていたのは複製画でしたが、宗達の雲龍図よりも大きくて迫力のある水墨画です。以前、京都国立博物館で開催された「海北友松展」で実物を観て、心が大きく動かされたことを思い出しました。


ほぼ同時期に活躍した2人の絵師が描いた、個人的には雲龍図の真打と思っている2点の水墨画。複製ながらも同じ空間で揃って同時に鑑賞できたことは感慨深い想いでした。


不穏で不安な時代ではありますが、年頭にあたり、美術が今年も我々の世界に豊かさと平穏をもたらし、我々の心に希望と勇気を与えてくれることを願います。

(n.m.)



# by matsuo-art | 2024-01-01 03:14 | その他  

2023年 謹賀新年

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。


# by matsuo-art | 2023-01-01 00:12 | その他  

濱口竜介監督「ドライブ・マイ・カー」アカデミー賞受賞

濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」が94回米アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞しました。すでに多くの賞を受賞し海外でも認められていた作品ですが、アカデミー賞にノミネートされて受賞するということは、また格別な感じがあります。

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YouTubeでは監督のインタビューや出演者たちの舞台挨拶など、たくさんの動画を見ることができます。私もこの映画を見てからその成り立ちに興味を持って、いろいろと動画を見ていました。今はそのようにして作品に関わる人たちの生の言葉にたくさん接することができる、よいご時世です。中でも、”神戸スタディーズ #8「まちで映画が生まれる時」”は、濱口監督と神戸との繋がりを知る上で大変興味深いアーカイブでした。


濱口監督は、デザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト)のアーティストインレジデンスで神戸に長期滞在し、2015年に映画「ハッピーアワー」を撮っています。その経緯や、監督と神戸の人々との繋がり、交流について詳しく語られていて、この国際的な監督のメソッドが、神戸の地でも大きく形作られていたことがわかります。


「ドライブ・マイ・カー」では、西島秀俊さん演じる舞台演出家が俳優たちにセリフを練習させるときに、あえて感情を込めない形で何度も本読みをさせます。そうした方法は一般的なのかと思いましたがそうではなく、この特殊な練習方法は、まさしく濱口監督が「ドライブ・マイ・カー」を作るにあたって西島さんはじめ俳優さんたちに行った方法だということ。このように、この作品では現実の演技と映画の中の演技、さらに劇中の演劇が交錯する感覚があります。もともと村上春樹の小説が原作であることもあって、小説、映画、演劇というジャンルの交錯が起こります。映画の現実に浸っていると、ふとセリフが、何か小説のような、演劇のようなセリフへと飛躍する。それもこの映画の魅力だと思います。


ちなみに「ハッピーアワー」は5時間17分というとても長い上映時間の作品です。私はたまたま点けたテレビのBSで上映していたそのシーンに見とれましたが(移動する大きな船の甲板に女性が立っているシーンだったと記憶する)、その後を最後まで見続けることはできませんでした。機会があれば今度は全編見てみたいと思います。(n.m.)


# by matsuo-art | 2022-03-29 10:59 | 映画  

谷川俊太郎 合田里美 絵本「ぼく」

詩人の谷川俊太郎さんとイラストレーターの合田里美さんが今年新たに出した絵本「ぼく」。この絵本ができるまでの過程を撮ったドキュメンタリーが2月12日にNHKのETV特集で放送されました。


絵本のテーマは「子供の自死」。表現することが難しいこのテーマをもとに、90歳になった詩人と若いイラストレーターは、コロナ禍の中で2年間リモートで絵本作りを行いました。番組ではそのやりとりを丁寧に追っています。

「 ぼくは しんだ じぶんで しんだ 谷川俊太郎と死の絵本」

https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/7J3N7LZXVV/

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詩人が書いた言葉にイラストレーターが答える。それに詩人から修正のリクエストが入る。さらにイラストレーターが描いた絵に詩人の感性が反応し、表現のかたちが定まったり、移動したりしていく。絵は何度も描き直される。詩人の言葉も変わっていく。


合田里美さんは当研究室の卒業生です。関東の美術専門学校に進学してからこの絵本を作るにいたるまで、途中絵の道から離れる時期があったものの、イラストレーターとして独り立ちしたことも番組では紹介されていました。


この番組は2人の創作者のやりとりをわかりやすい工夫をして視聴者に伝え、編集者も含めた創作の現場を追体験させてくれる、とても良質なドキュメンタリーです。


私はこの絵本を手にした時、大切なものに触れる時の心の震えを感じながらページをめくりました。(n.m.)


# by matsuo-art | 2022-03-21 12:26 | 美術  

松谷陽子展『寿山福海』ー水墨画作品展ー

京都のギャラリー、アートステージ567にて作品展示をしています。

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寿山福海がテーマです。おめでたいことが山のように高く、幸福が海のよう深いイメージですが、中国の故事に大海原の真ん中に長寿の国があったというところからきている言葉です。
展示では福を招いたり、厄除けの意味がある題材をたくさん描きました。
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昨年も同時期に作品展示をしました。毎年、友人が立ち上げた東日本大地震の被災地を祈念する企画で、特に東北地方の沿岸部の民俗芸能を支援しており、その企画の一環として作品展をしています。
平和で安心できる日々を送れることを祈り、このテーマを選びました。
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よく目にする題材や、今ではあまり見られなくなったものなど、たくさんのものを描いています。それぞれの絵の説明や言われも掲示しています。長く受け継がれてきたそれらの題材からは、人生への希望が感じられます。
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ギャラリーは元米問屋の古い町家です。わたしたちの地元の神戸にはない、土壁のしっとりとした佇まいの空間です。
展示は3月21日までと残りわずかですが、作品と共なってできる風情を味わっていただけたら嬉しく思います。
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2022年3月15日ー21日 午前11時ー午後6時
アートステージ567
京都市中京区夷川通烏丸西入ル巴町92
tel 075-256-3759
https://artstage567.com/
20日、21日午後6時から、篠笛と水墨画のLLiveパフォーマンスがあります

# by matsuo-art | 2022-03-18 18:59